ご存知の方はよく知る黒澤明監督の名作『生きる』主演の志村喬(たかし)の眼力は日本映画の宝!70年前の白黒映画は目にも優しい。
役場で真面目に勤め上げ、市民課の課長にまでなった主人公は、その地位を守るために余計なことをしないことが仕事であった。回ってきた書類にハンコを押すだけの毎日。
30年間無欠勤、なぜならもし休めば「自分がいなくても仕事が回るのがバレる」からである。お役所仕事は気楽なモンだ、との偏見?はどうやら昔からの様だ。黒澤明が映画にするほどなのだから。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
☝️さてこの主人公、ここで胃ガンが発覚する。
妻に先立たれ、残された一人息子を育て上げ、遊びも賭け事もせずに定年間近に半年の余命宣告。可哀想を絵に描いて皿に盛ったような人生である_| ̄|○
主人公は気がつく、「私は仕事なんかしていなかった。誰の役にも立っていない。すなわち生きていないのと一緒である。残された時間、生きた実感が欲しい…」
酒場で知り合った遊び人と連れ立って、パチンコ、ビアガーデン・盛り場・ストリップ劇場・シネマ・元同僚女性とのデートetc.へ繰り出す。死相が出ていた顔がみるみる生命力を帯びてくる。「堅物」のはずだった主人公。
その結果、父親の退職金を当てにしていた息子夫婦(病状は知らない)から冷たくされる主人公。酔いが覚めればまた現実が襲ってくる。
👤主人公は公園で凍死する…。
その真相はネタバレになるのでここでは伏せるが、彼は最期にしっかり「仕事」をまっとうして逝った🙏🏻
※ 行政関係者には是非観て欲しい。きっと昭和の頃から変わってない「仕組み(縄張り)」を痛感する。黒澤の思いもそこに向けられている。観るべき名作!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「リスキリング」などという言葉もなかった昭和の時代。一つの会社で勤め上げるのが美徳でもあった昭和。世の中も変わったものだ。
生きている内が花である。先人も「もっと自分がやりたいことをすれば良かった!」と後悔している。
皆さん、悔いなき人生を送りましょうね!
命短し恋せよ乙女