【 店長が売上げを持ち逃げ?(閲覧注意) 】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト



今回の話はちょっと重い…。

もちろん社員は信頼している。しかし長期間、沢山の店舗を営業していると様々なトラブルが起こるのが世の常である。「管理が甘い!」と言われたらそれまでのこと。そう、私は管理が甘く、お人好しである。

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📞ある月曜日の朝、店長が慌てて電話をしてきた💦

「社長!銀行から『夜間金庫に売り上げ金が入ってない』と連絡があって、昨日の夜、遅番で店を閉めた副店長に連絡したけど、ずっと電話に出ないんです」

私 「おいおい、そんなに慌てんなよ 。アイツは今日休みだから、どうせ酒でも飲んで寝てるんだろ (笑)」

店長 「でも、夜間金庫には金・土・日の3日間の売り上げ(1,200万)が入ってます💦」

私 「毎晩金庫に入れてるなら、そんなに大金にはならないだろ?」

店長 「す、すいません💦 週末はまとめて3日分金庫に入れて帰ってましたm(_ _)m」

昼を過ぎてアパートを訪ねても彼(副店長)はそこに居なかった。

彼はとても物静かで真面目タイプ、中途採用だったが、無遅刻無欠勤。40才手前の独身、気の回らないこともあったが、私の推薦で昇格させた経緯がある。

ちょっとおかしいぞ…。
私は警察に彼の「捜索願い」をお願いした。

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警官 「社長さん、あんた甘いよ!捜索願いじゃなくて『指名手配』これは窃盗事件、金額も実刑レベル!」

私は仕方なくそれに同意した💧

一週間後、彼は高速道路のカメラから居場所が分かり、店のある山梨から250キロ離れた静岡の健康ランドで逮捕された。盗んだ金は100万円ほど減っていた。

盗んだ理由は【借金がある実兄が閉店の24時に店の裏で弟を待ち伏せし、『売り上げから貸せ!』と脅して100万円渡した。自分に蓄えも無いため、夜間金庫に入れるとバレるのが怖くて逃げた】と。(あくまでも本人談)

警察から「現役の社員だけど、こういう時は解雇したことにすれば「元店員」と新聞が書くからそうしたら?」と勧められた。「そういうものか…」新聞には店名が書かれることはなかった。

信じていた部下が犯した罪、保険で損失分は補填されている。裁判所で「なんとか軽い罪でお願いします🙏🏻」という私に、お巡りさんはいい顔をしなかった。(それは当然)

しばらくして刑務所に拘留されている彼を訪ねた。彼の髪の毛は真っ白になっていた。うろ覚えだが。

「社長、本当にすいませんでした💧こんなに良くしてもらったのに裏切ってしまって…」

彼が無事ならそれでいい。特段の怒りは感じなかった。会社を解雇された彼は、被害者(私)の希望もあり、実刑を免れ執行猶予が付いて釈放された。その後、兄貴と離れるために彼の仕事(県外の建設会社)を紹介して縁を切った。

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2年後、知らない男から会社に電話があった。
「あんたは◯◯(彼)に金を貸してないか?俺も貸しているが、焼◯自◯をしたみたいだからもう取り返せないぞ!」

私 (なにがあったんだ??) 「私は一円も貸していませんよ!」

あの時心を鬼にして、彼を『実刑』にさせて何年か服役させていれば、こんな事態にはならなかったのかも知れない。お巡りさんの言う通りだ。

仲間を信じ切ることの是非、優しさばかりが善ではない?皆さんの会社に不正はないだろうか。

答えは今も分からない…。