私が経営していたスーパーでは、教育委員長を務めていた事情もあって、「特別支援学校」の卒業生の雇用を依頼され、毎年採用していた。
天塩にかけた我が子が独り立ちして自分の収入を得る、親御さんにとっては特別な感慨がある。雇う方も「この子の将来が幸せであれ」と願う。
ウチは主に知的障がいを持つ子供たちを採用していた。スーパーの単純作業なら十分に活躍できるからだ。
「弊社はこんな社会貢献をしています!」などとそれをイメージアップに利用する会社もあるが、そんな野暮なことはしない。あくまでも全従業員が家族意識を持つために。
男の子には兄貴分を、女の子にはお母さん代わりのパートさんと、一人ひとりに指導係を付け「家族と思って接するように」指導していた。
✅この子たちを雇用するにはそれ相当の覚悟がいる。
いきなり学校を出て社会人となり、定期的に収入を得る。自分の働きが評価され、好きなものも買えるし貯金もできる。親にご馳走だって出来る。こんなに素晴らしいことはない!
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✔︎しかし中には、我が子の給料を当てにする親が出てくる。給料日前に会社に来て「給料は親が管理する」と迫ったり、「こんな安い給料でコキ使って💢」などの暴言もある(決して安くはない)。
そんな時は学校に連絡して仲裁してもらうが、なんで争っているのか分からない当事者は可哀想なものだ。卒業後も親身に関わる先生たちにも頭が下がる。
✔︎身内の葬式があっても、深い意味が分からず参列者にニコニコしてしまう。私はそのたび一緒にその子の隣で頭を下げさせたm(_ _)m。その子たちの親が、健常者とは限らない…。
👤「なんだ、この店は『知◯遅れ』を使ってるのか!」などと暴言を吐く客もいた。
(その場で出入り禁止にしたが…)
✔︎女の子の場合はもっと気を使う。入社したての初々しい表情が、日を追うごとに大人びてくる。当然だ、お化粧品も買えるしカフェにも行ける。嬉しさは『店のお父さん』である私にもすぐ分かる(^^)
……そこに悪い虫が寄ってくる。車で迎えに来て仲間と夜遊びに繰り出す。それはみんながやってることだ。
次第に遅刻や無断欠勤が続くようになり、最後にはお腹が大きくなって辞めていく子もいた。
会社には24時間その子を監視する義務も権利もない。悲しい性(さが)である。
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私は著書の中で、批判覚悟でこのことを正直に書いた。
支援学校の先生たちが、手紙やメッセージで「よく書いてくれた」と言ってくれたのが救いだった🙏🏻
✅本当にその子を守る『覚悟』がないなら、簡単に「障がい者雇用」なんて口にしちゃいけない。『法定雇用』を義務付けるなら、その後の面倒も『法的』に見るべきじゃないのか?
「社会に出せばひと安心」じゃ、バランス取れんて!