【バンクミーティング〜経営改善計画と会計士】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→最年少山梨県教育委員長→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は全国の経営者に寄り添う日々


業績の悪い会社は銀行への返済がキツくなってくるため、元本返済を猶予(リスケ)してもらうために、全取引行を集めてお願いをする。いわゆるバンクミーティング(BM)と呼ばれ.ここで承認されると返済猶予が叶い、業績回復までの時間を得ることになる。別に珍しいことでもないし、企業再生の第一歩でもある。


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この段階になると金融機関の担当が本部に移管され、BMで承認を得るための「経営改善計画」も絵に描いた餅では通らない。そのため「認定支援機関」の指導が必要となる。

いろんな経過を経て、田舎のスーパーの再生計画を私と一緒に練ったのは、東京の大手コンサル会社(T)の精鋭部隊だった。リーダーはBMにしか来なかったが、残りの担当は皆20代〜30代の若手スタッフ3名。
「お願いする立場だから文句は一切言うまい!」と心に決め、彼らとの長い付き合いが始まった。

✅「社長、我々の時給は高いので話は簡潔にお願いします!」
→分かりました、まとめて話します。

✅「もし隠し事があれば監査法人として辞任しますから」
→教育委員長ウソつかない!

✅「…まずいなぁ」「ヤバくね?」「無理っしょ (笑)」
→だから何がマズいの?ビビるわ。

✅「我々は相手が誰であれ、同じ目線で話します。マシーン(機械)ですから」
→親戚だったらお前、◯してる…💢

✅「よくこんな状態で経営できてますね、ある意味尊敬します」
→ほかに言い方ないのかよ💢

どうも彼らと私の相性は悪かったようだ。年配の経営者だったら絶対キレてる。知り合いの公認会計士は人間的にも素晴らしい人ばかりなんだけど💧


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彼らは金融機関回りもポロシャツにチノパン。私は暑いけど背広にネクタイ💦
「格好は関係ないです、改善計画の中身が重要なんです!」
(人は見た目も大事なんだぞ、青年!)

金融機関の担当者が連絡してきた。
「社長、あの若い人達、頭が良いのは分かるけど、こっちは田舎の信用金庫だよ。計画書50ページも読めないよ💦聞いたら年間フィー600万だって?補助があるにしてもその分他に使おうよ」

地方の金融機関では同窓生がたくさん働いている。
「(小声で)社長、赤字の店舗を閉めて経費削減するんだから、金融機関は計画を否認なんかしませんよ!」(これで今夜は眠れる💤)

彼らは言う「リスケを取り付けることだけが我々の仕事です!」その通りである。私が間違っている。しかし3年目、翌年の見積書を見て私の堪忍袋の尾は切れて、知人の会計士(同年代)に乗り換えた。報酬は5分の1になったし、いつでも腹を割って話ができた。

金融機関からも「社長が計画書作りに掛かり切りになることの方が心配です。応援していますから頑張ってください!」と言われて嬉しかった。

新任の会計士と臨んだBM、最後に彼がスックと立ち上がり銀行の担当者に向かって言った。
「皆さん、計画のご承認ありがとうございます。社長はこれから現場に専念いたします。そしてこの私が社長に寄り添います!」
泣かせるねぇ💧

そしてようやく4年目にして2度目の赤字が解消したo(^▽^)o


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以前、東京都公認会計士協会で講演させて頂いた時、失礼とは思いつつ言わせてもらった。


「皆さんが扱うのは数字です。数字は正直で怖い面もあります。私が命を預けた先生方はその道のプロでした。しかし私以外ならきっと心が折れたでことでしょう。皆さんは数字と同時に経営者の命を預かっていることを忘れないでください🙏🏻」