【倒産したら従業員はどうなるの?】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト



会社が不幸にも倒産した時、社長が考えることはなんだろう?

私だけの経験かも知れないが、
① 従業員はどうなるのか?


② 取引先はどうなるのか?


③ 地域(世間)はどんな反応をするのか?


大きく言えばこの3つくらいだと思う。

(④「自分はどうなるのか?」というのがあるが、社長なんか自分の責任なんだから知ったことか!と思われるのでここでは触れないでおく)


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さて、今回は①の従業員についてのお話。

会社の倒産と同時に、社長を含め全ての従業員は即日解雇となる。私のスーパーの場合、年末を控えた12月の倒産であり、従業員の再就職と未払い給与・退職金(社長除く)の支払いが会社が直面する最初の課題となる。

労働債権(給与等)は最優先となるため、会社の資産を売却してまずその支払いに充てる。退職金もきちんとした規定があり、積み立て実績を確認した上で、国が7割まで一時払いしてくれる。これには助けられた。

時期的に困るのは再就職先を見つけることだった。お正月は近い…。

『地域土着』を標榜し、私の想像より地域に認知されていたためか、ここで初めて県知事が記者会見の中で応えた。


「地域に貢献したスーパーの従業員のために、至急専用の就職説明会を開催する。希望各社は手を挙げて欲しい」との発表!

倒産翌日も出勤して、資料を作成してくれたパートさん、離職届を徹夜で仕上げてくれた社労士、翌日から面談を開始してくれたハローワークの職員さんは本当に頑張ってくれた。

倒産時に職を求めたのは170名。私も知り合いに電話を掛けまくってお願いした。それに対して求人を申し出てくれたのはなんと250社


「地域に根ざしたスーパーの従業員ならぜひ!」と取引業者や同業者(ライバルスーパー除く)を中心に沢山の方が支援を申し出てくれた🙏🏻

そして失業保険を貰いながら説明会を重ね、翌年の3月末には(私を除く)全ての従業員が新しい職に就くことができた。ホッとした😅


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地元のテレビ局が「給与を払ってない」と報道したのを観て、複数のパートさんが「会社からちゃんと貰ってます💢」とテレビ局に抗議し、後日ニュースの中で謝罪させたこともある。スポンサーでなければ「◯者に鞭打つ」のがメディアなのか?それとも贖罪の一部?

「計画倒産」以外、誰一人好き好んで倒産なんかしない。経営者にとって倒産は死を意味し、関係者も痛みを伴う。私は百の倒産には百の理由があり、一般論で語るのは正解とは言えないと思っている。

経験された方はお分かりいただけると思うが、倒産社長を潰すのは銭カネばかりではない。ぼんやりした倒産や破産のイメージが自責の念や世間の視線となって、本人や家族を追い込んでいくのである。

◉ 次は「②倒産したら取引先はどうなるのか?」について書きましょうね(^^)。

皆さんにとって必要の無い知識になりますように🙏🏻