4.3点/5点

 

鑑賞したというより目撃した感覚。
アーサーの臨界点とジョーカーの誕生。

とてつもなく哀しく、とてつもなくエキサイティング。今まで感じたことの無い感情を起こさせる映画だった。

いけないと思っていても嫌悪より共感が先立ってしまう。自分がなぜ存在してるかもわからない。

 

愛も、出自も、憧れも、信じていたものも。

 

心の底から人との繋がりと共感を求めているアーサーから一つずつ奪いとられていく様があまりに苦しい。

 

苦しみの中で止まらない笑いが発作的に繰り返される痛ましさ。

 

誰の心にもアーサーがいるからこそ奥底の部分で共鳴し合う。

 

でも誰の心の中にもきっと数%のジョーカーもいる。

 

いつどのように発火するかはわからない。

 

彼が至った行動は1ミリも認められなくても、その本質に寄り添ってしまう。

しかし、こんなに人間味溢れて苦悩が心深く迫ってくる人物もなかなかない。

 

それは全て天性のホアキン・フェニックスだからこそ為せること。

 

アーサーがついにジョーカーとして荒れ狂う群衆の中で君臨する様に、

なんとも言えない高揚感とカタルシスが湧き上がってくるのはなぜだろう。


アーサーの哀しみとジョーカーの歓びを写し鏡にしたような、

優雅で恍惚感に満ちたスローダンスが脳裏から離れない。