EDRはどんな時に活用できるんだろう④
責任の所在が難しい多重衝突事故などの判断
本ブログの「EDRでわかること……ってなに?」④と⑤で紹介した事例では、私たちCDRアナリストがどのようなプロセスでなにを分析するのか、を解説しました。実はその事例そのものがEDRを有効活用している具体例でもあります。
複数以上の車両が絡んだ多重衝突事故では、往々にして責任の所在が曖昧にながちです。
まず誰が事故の原因を作ったのか。
それによってどのような順番で事故が連鎖したのか。
それぞれのドライバーの運転操作には、どんな瑕疵(失敗、あるいは本来あるべきでない状態に結びつく行動)が認められるのか。
なによりも適正な責任按分はどんな根拠に基づいて、判断されるべきなのか。
各車に搭載されていたドライブレコーダーや、道路上に設置されている監視カメラなどは、「見た目」上の有力な手掛かりになりえます。
しかし車外の映像、もしくは車外からの映像では、運転手がどのような運転操作を行っていたのか、判断することは難しいと思われます。それぞれの車両の運転手の証言には、自己保身のバイアスがかかってしまう可能性が高く、こちらも正確な事実の分析には活用できないかもしれません。
さらには車両ごとに装着されている先進安全装備、たとえば衝突防止自動ブレーキといったシステムが正常に作動したのか、それとも作動しなかったのか、作動したとすればどのような「運転手以外の操作の介入」がなされたのか、についても材料としなければなりません。
そんな時に、可能な限りのEDRデータを収集し総合的に分析を加えることができたなら、より迅速に、そしてより明確に責任の所在、按分を検証、把握することができるのではないでしょうか。<CDRアナリストを巡る日本の理想と現実 につづく>