成った途端に瓦解を始める建武の新政を描く第6巻。
まずは朝廷内のいがみ合い。
大塔ノ宮から阿野廉子へのいちゃもんが
准后のお血すじには、北条家の濃い血が入っている
ここで、阿野全成(幼名・今若)とその妻・阿波ノ局(今作では慈子)について詳しく語られていました。
「鎌倉殿の13人」第7回で”全く知らなかった”は、”完全に忘れていた”でした訂正しておきました。
しかし、第32回で阿波ノ局(実衣)が
”比企の血筋が残っている”
と強く主張するセリフにはゾゾゾとしました。これぞ因果応報。
さて、大塔ノ宮は敗れ鎌倉へ流され、
続いては武士の旧勢力、そう北条残党との争い中先代の乱!
これも、北条時行、泰時、諏訪氏、小笠原氏等々そこそこ詳しく描かれてました。
その後がまた目まぐるしい。
・中先代により鎌倉が落ち、直義らは西へ敗走。
・そこへ尊氏が京から無断で出陣し鎌倉奪還。
・次は、新田義貞らの尊氏追討軍が東へ。直義軍は三河・矢作で迎え撃つも敗れ東へ敗走。
・そこへ尊氏が乗り出し、箱根下で勝利。義貞敗走。
・都を落としかけたが、神戸辺りの合戦で新田・北畠連合軍により西へ敗走。
・更に室津から船で北九州へ
巻末の史実解説は、
楠木氏と建水分神社についてと、
後醍醐帝隠岐の御座所、島前と島後の二説について。資料の信憑性の変遷があり、吉川氏死後に島前説が有力になったとのこと。そこを吉川英治は、島後から島前に移ってから脱出と描いている、とのことでした。
こういう巧さ、やさしさが吉川英治の魅力です。