危うく村山由佳ファンを名乗れなくなるところでした。

「ミルク・アンド・ハニー」、「燃える波」を立て続けに読んで、ちょっとお腹いっぱい感があって、これは読まなくてもいいかなと思ってしまってました。

 

 

「ダブル・ファンタジー」から始まる大きな物語の終着に当たる大切な作品でした。

 

いつもの艶やかで、心地よいリズムの文章に、美しい日本語、美しい自然描写がまさに花を添えます。

 

主人公の名前はハナ(読み終わってから気づいたあせる)。

各章は月の旧称 卯月、皐月、・・・

花々は漢字で表わされます。

勿忘草、春紫苑、嫁菜、浜茄子、蒲公英・・・

味わい深いですね。

どんな花かを一つ一つネットで調べながら読んでみました。

 

内容も心に刺さる箇所があちこちに。1つだけ引用させてもらいます。

 

”遭遇するかどうかもわからない非常時のための災害訓練はあるのに、人間が等しく出会う死のための心の訓練がないのはおかしい-”