8時には映画を観よう。その頃までには終わるんだ。

急いでいた。それはもう必死に3時間前からずっと、キッチンで常備菜をひたすら作り続けていた。
脚は棒、頭はコンロの熱でぼーっとし始める。それに、食べ物作ってるのに朝から何にも食べてない、一体今なん時?
作り終えてクタクタの最中、時計を見上げる。

濃厚バナナケーキを、どうしても今日食べたい。
もう少しだけがんばろう。

①『卵と砂糖をミキサーでもったりするまで混ぜ・・・』てたその肘で、スペアリブを煮込むのに使った黒酢を床に落とした(フタ開いてる)。

ぅわん。。

② ベソかいて必死に拭いた3分後、『小さじ2のお塩を粉に加える・・』
・・はずの手元がどうして震えてプルプルっ・・?
しっとりとした沖縄の塩が床に散らばった。

・・・お浄めかいな。

一人、心の中でツッコミながら、お酢でピッカピカになった上に塩の撒かれた床を諦観の態で眺めた日暮れ。

空には夕立の暗雲。
BNC恐るべし。

・・・

予定より少しだけ遅くに観始めた『虹の女神』はけれど、バナナケーキの悲劇を十分にリカバーしてくれる程とてもいい作品だった。(岩井俊二さんのプロデュース)

この日から三夜連続、しあわせの個人的ヒットが続いた。
『虹の女神』
『トリノ24時間の恋人たち』
『八日目の蝉』
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それでもバナナはやさしくありました。
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