
久しぶりのさんふらわぁ。フリーの昨日は別府のガストで、雛罌粟(コクリコ)の1stアルバム『コクリコ』に載せる文章を推敲。目の前の晶ちゃんはイヤフォンで耳コピ作業かな。
雛罌粟
―米須昌代(唄・ギター)
―中村仁美(コントラバス)
この一ヶ月ほど、生活の記憶がうっすらとしかない。
衣替えが追いついていない服の部屋は大波小波、冷蔵庫に溜まる野菜、ボディソープが切れたままシャンプーで代替、洗濯物は乾いた傍からたたまれることなく着られる、借りた本が積まれたまま、車のヘッドランプが切れたきりーー
家に帰ってどんなごはんを食べて、お風呂に入って、夜はどんな風に過ごしていたんだっけ。
ごはん、作ってたっけ?
10月24日と29日の2日間、無事に「雛罌粟(コクリコ)」のレコーディングが終わった。
その直前にはJasmineのレコーディングメンバーでの初めての大事なライブ、と、その前後Jasmineやマミさんと一緒のライブが4連日という「関西にいるのにツアー」みたいな、こちらもハレの日が続いた。
10月は雛罌粟とJasmineのことを考えていない時間はなかったというくらい、生活の中のほとんどの時間の中で、どちらかのこと若しくは両方のことが頭のどこかにあったような気がする。
おいしいごはんを食べている時も、TVをぼんやり眺めている時も、眠る前も起きたての朝も。
そうして、絶大なる信頼を寄せるエンジニアさんと社長とゲストのみなさんの力を借りて、出来上がりつつあるCDは、まーちゃんの表現を借りると 「2人の本棚のような」 ものになりそう。
2人の大好きなものやことがぎゅぎゅっと詰まっている。
先週、朝の5時までマスタリング作業。ひさしぶりの徹夜。
曲順は、いつもこうやって決める。
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遡った10月のある週末。
雛罌粟合宿@まーちゃんち。

レコーディングの約1、5ヶ月前の雛罌粟ファミレス中間mtg、「やっぱり曲を作ろう」ということに急遽方向が変わった。
2人は自分の好きな詩を選び、曲を書いていくことになったのだけれど。
それが想像以上のてんやわんやにつながるとは、その時は気付かないふりをしていたのか。
まーちゃんはすばやく、谷川俊太郎さんの『みち』と、昔から好きだったという『枕草子』にとりかかり、私は「これは素敵」 と目をつけていた谷川俊太郎さんの『春の臨終』と、1年前、Jasmineのレコーでイングの時にできた『サンダルウッド』の作詞をすることに決めた。
ずっと前から、まーちゃんの声が聞こえるようだったから。
随分前にAメロだけ浮かんでいた『春の臨終』は、尊敬するピアニスト・作編曲家:谷川賢作さんにゲストで参加してもらうことが決まってからも、ずっと完成しないまま時間が過ぎていった。
いくつの昼と夜を白紙の五線譜と共に過ごしたことでしょうかー というくらい、メロディーが出てこーん・・・(==
すると、気分転換にパラパラ見ていた中原中也詩集の『わが喫煙』が、「お先に」。
煙草の煙がムクムクと登るように、曲になった。
その直後、『春の臨終』メモノートの隅っこに落書きしていた鼻歌の上に、ぼんやり眺めていた谷川俊太郎さんの若かりし頃の詩『まなび』 がピッタリよろしく乗っかる。
図らずも出来上がったこの2曲は、『春の臨終』を高見から見下ろし、なんて軽やかに五線譜の上を踊っていたのでしょうかー
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その間にまーちゃんは予定とおり2つの対極的な曲を仕上げて、わたしは『春の臨終』が完成しないままレコーディング1週間前を切る手前に。もちろん『サンダルウッド』の作詞もできてない。
し、まーちゃんの曲のコード付けも追いついてへん。
あ、あかん。
電子ピアノの前に、部屋中に、書きかけの五線譜や消しゴムのカスや多色ボールペン、修正液、変なメモ書きが散乱(わたし錯乱)した家を出ても、なにか子どもを家に残してきたような気持ち。
一刻も早く家に帰ってあげなければ スーパーで魚を買っている時も、卵を手にとる時も、頭はソワソワ。
時間がないー
という具合で、もうこの頃には、外出時の記憶があまりない。
まーちゃんが寝静まった後、居間でひとりポツンと作詞してみる。
あんまりおいしくない98円のティラミス。
キョンキョンも歳とったなぁ。でもかわいいなぁ。
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結果、全て無事に完成したのだけれど。
ゲストのみなさんに送る音源も遅れ、メロディーだけのアカペラになってしまったりもした。(しかも歌っているのは私。)
レコーディング数日前でもコード付けが最終終わらず、いつも見守ってくれている周りのいろんな人に助けられ、当日を迎えた。
物理的にとても助かった、有り難かったというのはもちろんだけれど、それ以上に 「なにかできることがあれば」と、自身も忙しい中なのに手を差し伸べてくれた気持ちが本当に嬉しくて、泣きそうになった。
それから、難しいメロディーを短期間で入れ込み、曲や歌詞を解釈してイメージを膨らませ、いろんな歌い方を試行錯誤してくれたまーさんよ。
申し訳ない気持ちと同時に、「どんな曲でも必ず仕上げてくれる」という信頼があったのは、キリマピ時代の部活動的がんばりのおかげ。
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レコーディング1日目。
この日はまーちゃんと2人。
いつものまーさん手作りおむすび。と、エンジニアKさん。

ギター入りは2曲、それ以外はシンプルに唄とコントラバスだけで仕上げていく。
楽しい。去年と一昨年のレコーディングの時は楽しさより緊張と不安が勝っていた。
まーちゃんのヘンテコな曲がだんだん楽しくて仕方がなくなってきた。
朝8時から夜の22時までゆったり全8曲をレコーディングして、車で社長を送る。
信号待ちで後ろからぶつかられる(傷なし)。
夜中まで警察で現場検証に立ち会う。
社長は言った。
「仁美ちゃん、雛罌粟のCDはあたる(ヒットする)よ。」
うーん。それは嬉しいが。
翌日、事故証明のため一応病院へ行って警察へもう一度行く。
ちょうどお昼頃だったので、署食でごはん(一般の人も食べられる)。
400円で日替わり定食。鶏天のあんかけ。
この鶏の柔らかさといったらあなた。
大きな警察官のおっちゃんが運んでた焼うどん(大盛)の量はすごかった。
安くてボリュームがあるって、ナイス

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パリャーソのライブを見に京都へ行った次の日、梅田チルコロでのパリャーソのライブの前に雛罌粟で1ステージを演奏させてもらう。
レコーディングのゲストメンバーも全員参加してもらって。
小場真由美(pf)
宮本香緒理(per)
谷川尚弘(鍵盤ハーモニカ)

2部、少し飛び入りさせてもらう。
ボーカルの前重英美さん。大学の先輩にあたるのだけれど、久しぶりに話せて嬉しかった。
練習練習!

チルコロのおいしいごはん。手羽先2つ食べる。

次の日、レコーディング前日で迷ったけれど、パリャーソとよろえみのライブを見に。
なぜ 「行かない」 という選択肢があったのだろうかと、思う夜。

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●レコーディング2日目(ゲストのみなさんと)
前日、夜中まで一緒に打ち上げていたはずの調律職人Yさんが早くから整えてくれたピアノで、朝一で賢作さんと『春の臨終』。
やっぱり緊張したし、わたしはもうちょっとで大阪湾に沈められるところだったのだけれど。
賢作さんのピアノとまーちゃんの声が、この曲をそっと穏やかであたたかなものにしてくれる。

次はお馴染みマミさん。
女子4人で2曲ー
まーちゃんの『ひみつ』と『ウナ・セラ・ディ東京』
ある一点で特徴的な仕上がりに (^L^ ふっふ

続いて尚くんが入って香緒理さんと4人で『わが喫煙』『サンダルウッド』。
尚くんがとてもハマっていて、私は弾いている最中ずっとニヤニヤ。
いろいろ試しながらテイクを重ねていったのだけれど、イメージを共有して少しづつバンドみたいになっていく過程がとても楽しかった。
香緒理さんの素敵すぎる桶胴太鼓が入ったサンダルウッドは、Jasmineバージョンともまた違う雰囲気に。
尚くん(谷川尚弘:鍵盤ハーモニカ)
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最後は香緒理さんと1曲。
そして、女たちコーラス吹き込み。

雛罌粟1stアルバム『コクリコ』
12月3日発売予定
*先行発売岡山ツアー:11月29日(金)~12月1日(日)
関西での次回ライブ。
◎11月15日(金) 20:00~
箕面 Per caffe bianco
チャージ1,000円(ドリンク別)
*席数に限りがあります。
【雛罌粟(コクリコ)1stアルバム 『コクリコ』 リリース岡山ツアー】
●11月29日(金)
18:30開場 19:00開演
西大寺「茶蔵」
¥2,000(1ドリンク付)
●11月30日(土)
19:00開場 19:30開演
牛窓「Tereya cafe」
¥2,000
●12月1日(日)
14:00開場 14:30開演
井原『野峯窯(茂谷郁夫)工房二階』
http://www.geocities.jp/marumo_gallery/
¥2,000(お茶付き)
ゲスト:宮本香緒理(per)
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来年の手帳を買った。
今年で4年目。
迷いに迷って、黒よ。
