ウトヤ島、7月22日(’18)
監督:エリック・ポッペ
2011年7月22日に、ノルウェーのウトヤ島で起こった
無差別銃乱射事件を、生存者の証言に基づき映画化。
福祉国家ノルウェーでの惨劇に、当時、驚きを隠せなかったですが
意外と全容は知らないままになっていました。
この映画の最大の売りは、事件の発生から収束まで実際に要した
72分間をワンカットで描いていること。当然、手ブレ手持ちカメラで・・・
カメラが主人公の少女の後頭部ばかり映しながら
常に彼女の動向を追いかける。そう、『サウルの息子』みたいに
観客もテロの悲劇を追体験することになる。
何が怖いって、犯人の姿をほとんど見せないこと。
人影らしきものがチラッと見えると、少女たちは身を伏せ
と同時に、カメラも人影からパンして身を伏せる。地面しか見えん(笑)
緩急がないから、ずっと緊張しっぱなし
これは、心して観た方がいいかもしれません。
希望の灯り(’18)
原作:クレメンス・マイヤーの短編小説「通路にて」
監督:トーマス・ステューバー
打って変わって、こちらはホッとする~(笑)
旧東ドイツ、ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパーを
舞台にした、何でもない話を、実に味わい深く描いています。
ちょっと、カウリスマキっぽい感じで、タイトルも、っぽいですね。
巨大スーパーの中をフォークリフトが行き交う光景に
「美しき青きドナウ」を流して、作業車にワルツ踊らせたり
閉店後、店内マイクで「夜の時間にようこそ」って
「G線上のアリア」を流すなんていう粋な演出までして
殺風景な屋内がとっても幻想的な世界になっていくんです。
イメージの本(’18)
これが遺作 殺さないでください(笑)
88歳の生ける屍、生ける伝説による最新作は
過去の名作映画や絵画、文章、音楽をコラージュした“イメージの本”
映画なのに“本”って言ってしまっているところがゴダールらしい。
既存の映像や画とかだけで、最新作ですよ。
って、完全に人を食っている。
そんなイメージの連なりに、ゴダール自身のナレーションで
戦争、革命、暴力、法などについて、意味不明な言葉を並べる
と言っても、これが結構、観てられる。
理解などしようとはせず、漫然と映像に身を委ねるだけでも良い。
あとですね。終盤、ナレーションに疲れた(?)ゴダールが
むせ返して、咳が止まらなくなってしまうんです。
だ、だ、だいじょうぶ(死んでまう?) 晩年だから為せるジョーク(笑)
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