激しい季節 | Untitled

激しい季節(’59)イタリア国旗フランス国旗

監督:ヴァレリオ・ズルリーニ

 

 

『鞄を持った女』の勢いで、ズルリーニ監督のもうひとつの代表作を・・・

 

こちらも幻の映画として、長らくソフト化が待たれた作品です。

 

 

1943年の夏。戦時下のイタリアは混乱期にあったが

ファシストの高官を父に持つカルロ(ジャン=ルイ・トランティニヤン)は

戦火を避け、高級避暑地であるリッチョーネにやってきた。

祖国の苦戦をよそに、ここで青春を享楽している

上流階級の若者の仲間に加わったカルロは

ロッサーナ(ジャクリーヌ・ササール)という娘と親しくなる。
ある日、突然ドイツ軍の戦闘機が現れ、低空飛行で威嚇され

避暑地は大混乱に陥った。カルロはその時泣きじゃくる

一人の幼い少女を助ける。そして、その母親で未亡人の

ロベルタ(エレオノラ・ロッシ=ドラゴ)と出会う。

二人は急速に惹かれ合うのだったが・・・・・・。

 

 

あっ、ジャクリーヌ・ササールが出てるじゃない~(ササール・コートの人だよ)

と、食いついたのですが、当時、ズルリーニ監督の複数いる

愛人のひとりだったらしい。 ああ、なんかショック ガックリ・・・

で、そのことを暴露されてズルリーニは自殺未遂したらしい(小っちゃいな~)

 

話がそれてしまいましたが、そんなジャクリーヌ・ササール演じる

小娘ロッサーナを差し置いて、艶やかな大人の魅力で

カルロ(ジャン=ルイ・トランティニヤン)をメロメロにしてしまった

ロベルタ(エレオノラ・ロッシ=ドラゴ)。

むせ返るぐらいの妖しい色気を放っていて、しかも品がある。

M・アントニオーニ『女ともだち』にも出ていたらしく・・・・

ああ、何となく思い出したような・・・・(あの女ともだちだよね?)


 

『鞄を持った女』で「アイーダ」のアリアを流すシーンのように

ズルリーニ監督は映画の中で、ココ!っていうシーンを

生み出すのが上手い人なのかもしれない。

 

この映画の、ココ!は、ダンス・シーン。

夜空には照明弾が光り輝き、若者たちは花火のように

呑気に眺めダンスに興じる。 テディ・レノの「テンプテーション」が流れ

カルロとロベルタが見つめ合う。そして、カルロと踊るロッサーナが

「彼は私のものよ!」と言わんばかりの視線で、ロベルタを牽制する。

「いえ、私はそんな気ないのよ。お嬢さん。」

と、ロベルタは目をそらし、うつむく(台詞はあくまで私の妄想です)

 

雰囲気に呑まれてカルロとキスしてしまったけれど

その後も、自身の想いを抑えつけていたロベルタ。しかし・・・

いったん、箍(たが)が外れると、もう止められない(うらら~うらら~)

怒涛のように、愛欲になだれ込んでいくんです。

 

 

 

痛ましく、そして激しい恋だった。
戦時下を舞台に禁じられた恋の極限を赤裸々に描いた名匠ズルリーニ監督の傑作