2つ目の窓(’14)
![日本](https://emoji.ameba.jp/img/user/ii/iinanihon/22279.gif)
![フランス国旗](https://emoji.ameba.jp/img/user/ck/ckenbow/87110.gif)
![スペイン](https://emoji.ameba.jp/img/user/ii/iinanihon/22274.gif)
監督:河瀨直美
「何で人って、生まれたり、死んだりするんだろう」
『あん』 に気を取られ過ぎて、こっちの方を見逃してしまっていた
![汗](https://emoji.ameba.jp/img/user/so/soukou/6087.gif)
監督本人がそんなこと言わずに、人から言ってもらった方がいい思いますけど
河瀨直美のキャリア “最高傑作” ですっ!!(『あん』 も捨てがたいんですけどね)
奄美大島を舞台に 「生」 と 「死」 を見つめ、そして 「命」 がつながっていく・・・・・・
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160822/14/pyscipks/f0/60/j/o0380025313729618225.jpg?caw=800)
奄美大島で暮らす界人(村上虹郎)は、八月踊りの満月の晩
海に男性の遺体が浮かんでいるのを発見し、そんな界人を同級生
杏子(吉永淳)が見ていた。杏子の母イサ(松田美由紀)は島民たちから
ユタ神様として慕われているが、医師からは余命宣告を受けていた。
神様と言われながらも死から逃れられない母の存在に矛盾を感じた杏子は
行き場のない感情を界人にぶつけてしまう。一方、界人は恋人のいる母
岬(渡辺真起子)の女としての一面に複雑な思いを抱えており
その思いを胸に幼い頃に別れた東京で暮らす父(村上淳)のもとを訪れる。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160822/14/pyscipks/56/a1/j/o0430030013729618226.jpg?caw=800)
「人はね、死ぬんだよ。誰でも死ぬんだよ。」
河瀨監督と言えば “奈良” ですけど、戸籍を辿っていくと奄美大島に
自身のルーツがあったこと知って、自然と神と人間が共存するこの地を訪れ
命の源流を、スクリーンに焼きつけたいという思いに駆られる。
ヒロインの杏子の家の前には、樹齢何百年もの樹木が力強く根を張り
死期が迫った母が縁側で、陽光を浴び、風を感じ、静かに樹木を見つめる。
海岸沿いでは、怒りにも似た波が荒々しく何度も打ち寄せる。
そうかと思えば、青く透きとおった海の中をサンゴ礁たちに見守られながら
杏子が制服を着たまんま泳いでいく。 普通なら “人魚” のようだ。
だなんて、ありきたりな表現になるところですが、杏子役(吉永淳)の泳ぎは
“海の中を羽ばたいている” ようで、大空に見立てた海を優雅に舞っているんです。
何でも、そんな泳ぎがヒロイン抜擢の決め手となったそうです。
死期が迫った母と向き合わざるを得ない杏子は、「生」と「死」を見つめる。
その目に見えないものを杏子は、都合2回じ~っと見つめるシーンがあるのですが
この2回の彼女のまなざしが、綺麗くって、綺麗くって、心揺さぶられましたっ!
この吉永淳という子(現在は「阿部純子」に改名)は、尾野真知子ちゃんのように
遅咲きになるかもしれませんが、この先、大化けするかもしれません。
「たとえこの世を去っても、お母さんの想いはここにたしかにある。
ぬくもりはあなたの心に残るのだから・・・・・」
死期が迫った杏子の母を演じた松田美由紀さんも素晴らしくって
(旦那さんは私の永遠のカリスマ)
静かに“それ”を受け入れ、愛娘に命のバトンを渡す姿に涙、涙
![涙](https://emoji.ameba.jp/img/user/yu/yuki-026/21316.gif)
そんな母と子を温かく見守る父親役の杉本哲太も、小林薫や橋爪功のような味が出てた。
いよいよ、その時が迫り、近所の人たちが集まってきて、奄美民謡を歌ってあげたりする。
その近所の人たちが明らかに“地元の素人さん”なんです。プロの俳優たちに混じって
台詞じゃなくて、地元の言葉でごちょごちょっと喋ってる(全く聞き取れない、笑)
この劇映画ともドキュメンタリーともつかない、独特の雰囲気作りが
河瀨直美の世界観なんですよね~。 で、後でメイキングも見たんですけど
いる人がいないベッドの傍で、杏子が界人の胸に顔を埋めて泣いてるんです。
本編では“その時”と直後は見せていなんです。おそらくカットがかかった後の光景。
吉永淳は杏子になりきってしまって、映画を超越して、母を想い涙してるんです。
村上虹郎も界人になりきってしまって、そんな杏子を優しく受け止めてあげている。
河瀨監督が、だいじょうぶ~? って顔して二人を覗き込んでいる。
オフショットですよ。 なりきっているというより、これはもう乗り移ってしまっている。
“河瀨組” では、どんなベテラン俳優でも演じることを全て剥ぎ取られるという
俳優陣を奄美に放り出して1ヶ月生活させたという恐るべし“河瀨組”
松田美由紀はユタ神様役だから、拝み場に毎日通って拝んでくださいって放置され
カメラもなしスタッフもいない状態で一人で毎日拝み倒して、トランス状態になって
地元の住民に「監督のとこの役者さん、ちょっとおかしなってるよ」って言われたとか(笑)
母の死と、家族の再生。そして繋がっていく命
河瀨直美監督による奄美大島の豊かな自然を舞台に少年少女の恋を通して命の奇跡を描く人間ドラマ。
2つ目の窓 [DVD]/渡辺真起子
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F61NLbq6hWnL._SL160_.jpg)
¥4,860
Amazon.co.jp