草の上の昼食(’59)
監督:ジャン・ルノワール
「幸福とは自然の秩序に従う事だ。」
南仏プロヴァンス地方を舞台にした “草の上の昼食” は
柔らかな陽光に、風そよぐ草木、緩やかに流れる川が最大のごちそう。
「人工受精によって優秀な子供を増やすべき」という主張を掲げ
欧州代表大統領選に出馬しようとしているアレクシ博士(ポール・ムーリス)
令嬢との政略結婚も決まっていたが、ある日彼は、「草の上の昼食会」
という田舎での昼食会で、突然の暴風に遭い仲間とはぐれ
小川で裸で水浴びをしている素朴な田舎娘ネネット(カトリーヌ・ルヴェル)
に出くわし、自身の主張を覆し、本能のままに行動に移してしまうのだが・・・・・。
エドゥアール・マネやクロード・モネの「草上の昼食」を想起して作られて
当然、お父さんのオーギュストから受け継いだであろう印象派を思わす映像も
さらに言うなら、自身の作品 『ピクニック』 をカラーで撮ってみたい。
『ゲームの規則』 のような自由奔放なドタバタ喜劇を
もっとバカバカしく撮ってみたい・・・・なんて思っていたのかも。。。。。
だって、突風が吹いた後に奥さんがムラムラしだして、旦那に襲い掛かったりして(笑)
オリーブの木の下でアレクシ博士とネネットが交わす “人類学” の会話が好きです。
「哺乳類とは?」 「乳房のある動物。 ステキだわ。」
「たぶん、恐竜は幸福な死を遂げた。」
「自らの属す種の滅亡にも無関心。 日光や草を味わった。」
そして、最初に書いた 「幸福とは自然の秩序に従う事だ。」 に繋がるんです。
ちなみに、絵に描いたような幸福を描いた、アニエス・ヴァルダの 『幸福(しあわせ』 は
この映画の影響を強く受けていて、家族での “草の上の昼食” シーンはまさにこれ。
ジャン・ルノワール監督による傑作諷刺喜劇。
南仏プロヴァンスの景色が色彩豊かに描かれた、ルノワール監督後期の代表作。
草の上の昼食 (デジタルリマスター版) [DVD]/ポール・ムリッス,カトリーヌ・ルヴェル,フェルナン・サルドゥ
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