ゲームの規則(’39)
原作:アルフレッド・ド・ミュッセの戯曲「マリアンヌの気まぐれ」
監督:ジャン・ルノワール
「この世界には恐ろしいことがひとつある。」
「それは、全ての人間の言い分が正しいということだ。」
シネフィル(映画狂)のバイブルと讃えられ
巨匠ルノワールの最高到達点とも言われる作品。
侯爵の妻と愛人。さらに公爵夫人を慕う飛行士。そしてその友人たち。
侯爵がソローニュの別邸で催す狩猟に全員が集う。
密猟監視人と小間使い、密猟人も加わり、狩猟の野から
仮装パーティの一夜を経て、思わぬ結末へ突き進む・・・・。
フランス映画史上最高傑作と言われているぐらいだから
芸術性の高い作品なのだろうと思いきや
内容はハチャメチャなドタバタ喜劇なんですよね。
ただ、そのドタバタの中で人間の悲しみや喜びが奥深く描かれ
見るたびに印象がガラッと変わる。
クロード・シャブロルは通算七十七回観たと言っていますし
フランソワ・トリュフォーは毎年何度も観直すほどで
「私が陰鬱な青春時代を乗り切ることが出来たのは 『ゲームの規則』 のおかげだ」
とまで語っています。
中条省平著の「フランス映画史の誘惑」では
「全ての人間の言い分が正しい」ことを認める観察力、理解力の深さに加えて
その事実を「この世で一番恐ろしい」ことだと見抜く感受性の鋭さが
「ゲームの規則」のこの一言に凝縮されている。 なるほど・・・深い。
しかし、“楽しい悲劇”を作りたかっただけのルノワールの感受性の鋭さが
「第二次世界大戦を予見した映画」 とジャン=リュック・ゴダールに評されたように
猛毒を含んだ作品にもなったのでした。
ジャン・ルノワール監督作品
大西洋を23時間で横断した飛行家アンドレ、その彼が想うラ・シュネイ公爵夫人クリスチーヌ、夫ロベールと愛人ジュヌヴィエーヴ、ジュリユーの親友でクリスチーヌの幼なじみであるオクターヴといった面々がコリニエールを舞台に恋愛騒動を繰り広げる。
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