夜の終りに | Untitled



夜の終りに(’60)ポーランド

監督:アンジェイ・ワイダ


脚本にイェジー・スコリモフスキが参加していて、映画の中にも出演し

さらに、ロマン・ポランスキーがカメオ出演しているという

ポーランドを代表する映画人が集った、アンジェイ・ワイダには珍しい青春映画。



ワルシャワの街。アパートで独り暮らしをしている若い医師

アンジェイ(タデウシュ・ウォムニツキ)は、昼は体育館の医務室で働き

アマチュア・ジャズバンドのドラマーとして活躍していた。

ある日、友人のエドムンド(ズビグニェフ・ツイブルスキ)と行った酒場で

アンジェイは見知らぬ娘に誘いをかけはめになる。

アンジェイと“ペラギア”と名乗る娘(クリスティナ・スティプウコフスカ)は

なんとなく話し始め、一緒に歩き出すが、終電を逃してしまう。

仕方なく、アンジェイのアパートへとやってきた二人は

どちらからともなく恋愛ゲームを始める……。



冒頭のクレジットで背景には、向かい合った男女があしらわれていて

クレジットが終わると、実はその背景はワルシャワの街に掲げられたポスター。

ポスターの中の男女は、この後メインキャストとなるアンジェイとペラギア

その巨大ポスターの前をアンジェイのガールフレンドが横切って行く。

“ヌーヴェル・ヴァーグ” のお株を奪う演出ですよね。

ゴダールのお得意の “壁際に立つ” を先取りしています。

フランスで起こったそれとは別に、ポーランドでも新しい波は起こっていたのですね。



アンジェイ・ワイダが、政治色のない若者の生態を描いた映画を撮りたい。

ということで、二十歳そこそこのスコリモフスキに目をつけて

脚本を書かせたらしい。 物語だけではなく、映像からも

スコリモフスキの色合いが強い作品となっています。

アンジェイ自身も畑違いの作品に手を出してしまったと後悔していたようです。

ただ、その後のポーランド映画の試金石となったのは間違いないでしょう。






“雪解け”後の解放的なワルシャワを舞台に描かれる、普遍的な若者群像。
若き医師と、彼が偶然出会ったひとりの娘が繰り広げる、恋の駆け引き。
歴史的・政治的主題から離れ、社会観察に主眼を置いたアンジェイ・ワイダの異色作。
夜の終りに [DVD]/タデウシュ・ウォムニツキ,クリスティナ・スティプウコフスカ,ズビグニェフ・ツイブルスキ

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