去年マリエンバートで(’61)
監督は、アラン・レネ
「あなたは、しばらく横になった後、どうしていいか分からず」
「まっすぐ目の前の虚空を見た・・・・」
黒澤 明監督の 『羅生門』 をモチーフに作られた
映画の舞台全体が、出口の見えない迷路のような作品
男X(ジョルジュ・アルベルタッツィ)は、女A(デルフィーヌ・セイリグ)と再会する。
男Xは “去年マリエンバート” で会ったと語りかけるのだが
女Aは記憶していない。しかし、女Aは男Xの話を聞く内に、おぼろげな記憶を・・・
女Aの夫らしき男Mは、“去年マリエンバートで” 実際に何が起こったのか知っているかのようだが・・・
観客を困惑させ、曖昧極まりなく感じるのですが
脚本には、X軸・Y軸まで使って
4つ異なる時間と空間が、互い違いに入り組む形で構成されているそうです。
脚本を担当したアラン・ロブ=グリエ曰く
「非常に緻密に計算された作品で、曖昧さのかけらもない」
2度観ましたが、2度目の方が混乱してしまった。
出演者も、何を演じているのか混乱状態に陥ったぐらい。
衣装(ココ・シャネルがデザイン)やセットの違いを頼りに
繋ぎ合わせようとしても更に混乱してしまう。
女Aの記憶が飛んでるのか・・・知らないフリをしてるのか・・・
男Xの妄想なのか・・・それとも、この舞台自体が幻影なのか・・・
観客が持つであろう疑問に対してロブ=グリエは
「そんな疑問は何の意味もない」
この現実とも幻想ともつかない世界に酔いしれる映画なんだと思います。
豪華だが、冷たく凍りついたような宮殿・・・不気味なオルガン・・・
無表情な召使たち・・・紳士・淑女たちの空虚な会話・・・
無限に続くかと思われる廊下・・・
私もそこそこモノクロ映画を観ていますが、とにかく美しいモノクロ映像
なんでも宮殿の壁は、ピンク色にしたんだそうです。
そのピンク色をモノクロ撮影すると美しい灰色に・・・
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作
ベネチア国際映画祭受賞作
アラン・レネ監督作品
豪華城館でのパーティで男女が出会う。男は去年マリエンバートで会ったというが、女にその記憶はない。しかし、男に迫られるうちに女は過去と現在の境を見失い、その記憶も曖昧なものになっていく…。
去年マリエンバートで HDニューマスター版 [DVD]/デルフィーヌ・セイリグ,ジョルジョ・アルベルタッツィ,サシャ・ピトエフ
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