ルドルフ・ヌレエフの「くるみ割り人形」全幕映像が、4Kに修復されて無料公開されています。
1968年に英国ロイヤルバレエで上演された時の映像。
ヌレエフ本人がドロッセルマイヤー/王子の1人2役を演じています。
ヌレエフ版「くるみ割り人形」といえば、パリ・オペラ座バレエのイメージが強いですが、
元々は1967年に、同時期に活躍したスターであるエリック・ブルーンの依頼で、スウェーデン王立バレエのために制作されたプロダクション。
1968年には、ニコラス・ジョージアディスによる、新たな美術・衣装デザインを用いて、英国ロイヤルバレエで上演されました。
その後、ミラノ・スカラ座バレエやテアトロ・コロン(アルゼンチン)、ベルリン国立バレエ等で上演され、パリ・オペラ座バレエで現在上演されている形になったのは、1985年のこと。
ヌレエフ版は、「くるみ割り人形」をより原作のダークな雰囲気へと読み替え、少女クララが大人の女性へと成長する心理劇としての側面を強めたのが特徴。
それが最も表現されているのが、クララが密かに憧れるドロッセルマイヤーが、夢の中で王子に変身し、彼女を旅に連れ出すこと。
そして、彼女が恐怖心を抱いていた、両親をはじめとする大人たちが、こうもりのようなお化けとなって、彼女に襲い掛かるも、恐怖を乗り越えた先に、御伽の国が姿を現します。
超絶技巧が散りばめられた振付を、まるで音楽を語るように表現する終盤のグラン・パ・ド・ドゥは、流石ヌレエフ。
これだけでも一見の価値ありですよ!
英国ロイヤル・バレエ「くるみ割り人形」
【第1幕 第1・2場】
シュタールバウム氏=レスリー・エドワーズ
シュタールバウム夫人=ベティ・カヴァナー
ドロッセルマイヤー=ルドルフ・ヌレエフ
クララ=メール・パーク
フリッツ(クララの弟)=キース・マーティン
ルイーザ(クララの姉)=アン・ジェナー
祖母=ゲルト・ラーセン
祖父=スタンリー・ホールデン
客人たち=ロイヤル・バレエ団アーティスト
子どもたち=ロイヤル・バレエ学校
【第1幕 第3場】
王子=ルドルフ・ヌレエフ
くるみ割り人形=ウェイン・スリープ
ネズミの王様=ロナルド・プレイステッド
海兵隊・ネズミたち=ロイヤル・バレエ学校
騎兵隊=ロイヤル・バレエ団アーティスト
雪の精(ソリスト)=ディーン・ベルグスマ、モニカ・メイソン
雪の精たち=ロイヤル・バレエ団アーティスト
【第2幕】
スペインの踊り=ジョージナ・パーキンソン、マイケル・コールマン、ヴィヴィアン・ロレイン、クリスティン・ベックリー、ヴァージー・ダーマン、ケネス・メイソン、ピーター・オブライエン、フランク・フリーマン
アラビアの踊り=ゲルト・ラーセン、アレクサンダー・グラント、アン・ハワード、ゲイリー・シャーウッド、マリリン・トラウンソン、ローズマリー・テイラー、ブリジット・グッドリック
中国の踊り=キース・ロッソン、キース・マーティン、ジェフリー・コーリー
ロシア(トレパック)=ディーン・ベルグスマ、モニカ・メイソン、デズモンド・ドイル、ロナルド・ハインド、エレイン・トーマス、ロザリンド・エア、ジェーン・ロビンソン、ジュリー・ウッド、ランバート・コックス、ペトラス・ボスマン、クリストファー・ニュートン、デレク・レンチャー
パストラール=キャロル・ヒル、レスリー・コリア、ウェイン・スリープ
花のワルツ=ロイヤル・バレエ団アーティスト