X(旧Twitter)でフォローしてくださっている方はご存知だと思いますが、この夏から米国駐在になりました。
駐在しているのは、超がつく程のド田舎(アメリカ人に話しても、「Oh…(お気の毒)」というリアクションが返ってくるレベルで、何もありません)なのですが、舞台芸術には大都市にアクセスして触れるようにしたいものです。
先日は、ニューヨークで本場の「Wicked」を鑑賞する機会に恵まれました。
初「Wicked」がブロードウェイ、更には1階席の前から2列目ど真ん中!
こんな贅沢をしてよいのか…とドルでも高額なチケット代に一瞬ひるみましたが、「人生に一度の贅沢!」と思って買ってしまいました(笑)
座席からの眺め(笑)
実は、「オズの魔法使」は幼少期から大好きな作品なのですが、恥ずかしながら「Wicked」は何となく「自分好みではないかな…」という思い込みで避けてきたのですよね…。
今年春に公開された映画版を観ただけなので、映画では描かれなかった後半については、ストーリーすら知らない状態で臨みました💦
そんな人生初「Wicked」は…本当に素晴らしかったです!
今更ですが、演出がよく作りこまれているな…と唸らされました。
映像で描いていた部分を、舞台上で表現するとこうなるのか!と。
今は、舞台であっても、映像で何でもできてしまう時代ですが、私はアナログの演出が大好きでして。
比較的シンプルな舞台美術で次々と繰り出されるオズの世界観、翼の生えたサルを振付で表現する様、エルファバが文字通り空高く舞い上がる「Defying Gravity」の名シーン…。
童心に帰ったように、ワクワクさせられました。
そして、本場ブロードウェイの層の厚さを実感させるハイレベルなキャスト!
冒頭のアンサンブルから、音が違う、客席への圧が違う!(プリンシパルの代役をできる人たちが演じているので、そりゃ違うわ。)
そして、主役のエルファバ(Lencia Kebede)とグリンダ(Allie Trimm)がもう最高でした。
2人とも、「ご本人様ですか?」と思ってしまうほど、役を生きていて、ラストシーンは涙なしには観られませんでした。
特に、グリンダ役の演技は、個人の裁量に任されている箇所も多そうですが、ちゃんとグリンダしてるんですよ(意味不明)。
あと、当たり前ですが、歌唱力のレベルが違いました。台詞を話すようにサラッと歌うのですが、その歌声に込められた感情がバンバン伝わる。カラオケが上手いのではなく、ちゃんと「歌で人生を生きている」。これがミュージカルのあるべき姿だなと。

(画像は公式より)
フィエロ役のJordan Litzは、元カリフォルニアの水泳選手(!)だったそうですが、スポーツマンの体格で、歌って踊れて、笑いもとれる、まさにフィエロ。
陽の部分だけではなく、特に後半にかけて明らかになる、彼の複雑な心境の表現も素敵でした。

そして、もう1人素晴らしかったのが、エルファバの妹ネッサローズを演じたJenna Bainbridge。
彼女自身が、ネッサローズと同じく、実生活でも車椅子ユーザーだそうです。
そんな彼女だからこそ、「誰かの手を借りないと生きられない」ことへのもどかしさが切々と伝わってきました。
第2幕、手を貸そうとしたエルファバを「Don't help me!」と制する一文に、彼女の人生全てが込められたようで、余りにも哀れでした…。
とにかく全てが最高で、幕開けからラストまでがあっという間!
客席の盛り上がりもアメリカンで、余計に気分が上がりました!
カーテンコールより。
沢山拍手もしたいので、サッと数枚だけ。
初演から変わらぬ会場のガーシュイン劇場。
エスカレーターの壁にも魔法が。




