今回のパリ訪問のメインイベント、パリ・オペラ座バレエ「眠れる森の美女」。

 

小さい頃からDVDで繰り返し見て、ずっと憧れ続けていた舞台。

今回が12年ぶりの上演で、ようやく生で観ることが叶いました!

 

バレエオタクは、滞在中に開催される公演は、すべてチケットをおさえるので、今回は全3公演を鑑賞。

それでも、フランス名物のストの可能性もあるため、一度でも観られたらラッキーくらいの気持ちでいました。

 

まずは、1日目となる3月11日の公演。

主演は、若手のホープ、イネス・マッキントッシュとトマ・ドギール。

 

 

 

いや、もう素晴らしかったです。

ダンサー個人のテクニックが云々…とかではなく、舞台全体が1枚の絵画のようで!

 

ご覧ください、舞台の上にヴェルサイユ宮殿が出現!

 

どこを切り取っても、悪目立ちして浮く部分がなく、ルイ14世からルイ16世統治下のフランス宮廷絵巻そのもの!

 

第3幕で、幕が上がった瞬間、客席から感嘆の声と拍手が起こりました。

 

 

ルイ16世とマリー・アントワネットそのものの国王夫妻。

 

 

 

 

 

 

リラの精(Camille de Bellefon)とカラボス(Sarah Kora Dayanova)。

ヌレエフ版では、リラの精は踊らずに、マイムのみの立ち役。

 

 

リラの精は、第2幕では、王子をオーロラ姫の眠る宮殿まで連れて行くと、目覚めや結婚式を見届けずに立ち去ります。

前面に出ることはなく、影から人々の運命を司っている神々のような存在。

ヴェルサイユ宮殿などの天井画に描かれた神話の世界を垣間見るみたいでした。

 

 

 

観客の笑いを誘った長靴を履いた猫(Manuel Garrido)と白い猫(Claire Gandolfi)。

 

Manuel Garridoの跳躍の高さが、まさに猫のような機敏さで素晴らしかった!

 

宝石の精たち(Camille Bon, Nicola Di Vico)。

男性ヴァリエーションのNicola Di Vicoが、非常にアカデミックな踊りで眼福でした。

あの5拍子のカウント、ハマりそう😅

 

 

青い鳥(Aurelien Gay)とフロリナ王女(Hortense Millet-Maurin)。

 

Aurelien Gayの雄大な跳躍の青い鳥、この日一番の喝采を浴びていました。

 

Hortense Millet-Maurinは、あのエリザベット・モーランの娘さん。

エレガントで可愛らしく、童話の世界から抜け出たようでした。

 

 

そして、イネス・マッキントッシュとトマ・ドギール。初役とは思えない、素晴らしい仕上がり!

 

イネス・マッキントッシュのオーロラ姫、登場シーンからオーロラ姫そのもの!

「オーロラ姫を演じている」のではないんです。

本当にシャトーで生まれ育った16歳のお姫様。

 

 

まるで、淡いピンクの野ばらが、1幕から3幕にかけて開いていくよう。

ローズ・アダージオ冒頭では、多少の緊張も見られましたが、ラストのバランスはしっかりと見せてくれました。

そのバランスが、花がフワッと開くようで、「わ~」と思ったのです。

 

 

 

でも、そうしたテクニック以上に、ちょっとした仕草、首の向け方、手の差し出し方がすべてオーロラ姫だったこと。

それが、私が最も感動したことでした。


呪いにかけられる場面も、生まれて初めて恐怖を味わい、自分を傷つける誰かがいることに戸惑い、ジゼルの狂乱の場を彷彿とさせるようで、胸が痛くなりました。

 

 

対するトマ・ドギールのデジレ王子は、どこか憂鬱さを抱えている王子像をよく体現していました。

「眠れる森の美女」といえば、「幻で見ただけの2人が、キスで目覚めた直後に結婚」というおとぎ話そのままのストーリーが、現代人の感覚に合わないと言われがち。

 

でも、この2人は、「お互いが出会うべくして出会った相手」という雰囲気で、ストーリーに説得力がありました。

 

 あの夢の場面、王子がオーロラ姫の幻に魅了されると同時に、姫が王子に恋をして、求愛を受け入れたことがはっきりと見えて。


「第2幕、なんでこんなに長いねん」と思っていたけれど、初めて存在意義がわかった気がします。


あれは、100年の眠りについたオーロラ姫にとっても、「いつか夢で」だったのですね。


 

 

 

 

 

本当に細部まで美しい宝石箱のような舞台で、花のワルツや森の場面さえも、全く退屈せずあっという間に過ぎてしまいました。


この日は、客席でもまさかのサプライズがあったのですが、それはまた別の記事で。