明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、私の今年の初バレエ鑑賞は、こちらです。

 

 

色々と話題のこちらの公演、チケットを必死に購入して行ってまいりました。

というのも、実は私、マチュー・ガニオを生で観たことがなくて!

昔は、ガラ公演より全幕が好きで、パリ・オペラ座バレエの全幕公演って東京しか開催されておらず…。

「ガラはいいや…」とパスしていたら、3月のアデューまでカウントダウンが始まってしまい!

もう観るしかない!というバレエファンとしての使命感が😅

 

結果…非常に心温まる素敵なプレゼントをいただいた気持ちです。

マチューを生で観られるのは、たぶんこれが最初で最後。

一瞬一瞬をしっかりと嚙みしめて、目に焼き付けてきました。

舞台上で立っている姿を見られただけで、幸せでした…。

 

以下、(今回希少かもしれない笑)バレエファン目線での感想です。

 

眠れる森の美女 第三幕よりグラン・パ・ド・ドゥ

上野 水香(スペシャルゲスト)
ジャコポ・ティッシ

 

まさかのマチューのイケボによるご挨拶(しかも仏語と英語ミックス😅)でキョトンとしたまま、幕開けの「眠れる森の美女」。

 

 

上野水香さん、実は拝見するのが初ですが、昔から全く変わらないビジュアルとスタイルにびっくり。

これを保ち続けられているのは凄いです。

「眠れる森の美女」って、グラン・パ・ド・ドゥだけでも結構ハードですが、長年キャリアを積まれてきて、まだこれを踊られるということだけでも偉業だな…と。

 

一方で「眠れる森の美女」は難しい作品でもあることを実感しました。

充分に綺麗で、心を込めて踊られていることは伝わったのですが、ついついプラスαを期待してしまって…。

 

ティッシと組むのは初(元日が初稽古!)だそうですが、そうとは思えない誠実なパートナーシップで、安心感がありました。

王子のヴァリエーションも、さすが元ボリショイ・バレエのプリンシパルだと思わせる美しさ。

 

 

幕開け直後、そしてバレエファンは通常よりも少数であったと思いますが、温かい拍手で盛り上がって嬉しかったです。

拍手が続いたため、追加でレヴェランスがあったくらい!

 

「ロミオとジュリエットより パ・ド・ドゥ」

シルヴィア・サン=マルタン
パブロ・レガサ

 

まさかのパリ・オペラ座バレエでは上演されていないマクミラン版!

ある意味では非常にレア、別の言い方をすれば非常にチャレンジングなチョイス😂

誰がリハーサル指導したか、凄く気になります。

(同じマクミラン作品である「マイヤーリング(うたかたの恋)」を上演しているため、それつながり?)

 

これが、非常に良かったです!

複雑なリフトが組み込まれた、このパ・ド・ドゥを、本拠地での公演の合間を縫って、これだけ踊れる水準へもってきたことがさすがだと恐れ入りました。

 

冒頭のロミオのソロ・パートの疾走感たるや、まさに恋する若者のアツい想いが伝わるパフォーマンス。

パブロ・レガサ、本拠地でもロミオ役は踊っていなくて、2021年の公演ではマキューシオ役。

この日は見事にロミオでした!

こちらのお調子者から、ジュリエットへ恋する若者へ見事な進化!👏

 

 

対するシルヴィア・サン=マルタンも、ジュリエットは初だと思いますが、戸惑いつつも初恋へと踏み出す少女らしさが伝わってきました。

この作品の肝ともいえる、パートナーシップもばっちり。

 

一方で、マクミラン版として、人間の渦巻くような感情が、こちらが火照るくらい溢れ出る!という感じではなく、どこまでもお上品。

マロニエの並木道か、エレガシトな香水が浮かびそうで、パリ・オペラ座で踊るとこうなるのかと面白かったです(笑)

「シンデレラ」かな?というエレガンスとキラキラ感でした✨

 

 

「ジュエルズ」より「ダイヤモンド」

アマンディーヌ・アルビッソン
ジャコポ・ティッシ

 

 

これぞ、パリ・オペラ座バレエのエレガンス!

アマンディーヌ・アルビッソン、素晴らしかったです!

 

あのクリスチャン・ラクロワがデザインした衣装が眩しい輝き。

(オペラグラスで直視した私、目を火傷😂) 

 

崇高ながら、華やかで繊細、どこか温かみも感じさせるダイヤモンド。

 繊細なカットを施した、可憐なジュエリーを彷彿とさせました。

 

ポワント・ワークがどこまでも美しく、惚れ惚れと。

「ああ、自分は今、パリ・オペラ座バレエを観ているんだ」と、ありがたみを嚙みしめていました。

 

ティッシが、そのダイヤモンドの女王へ仕える騎士のようで素敵でした。

至福のひと時…。

 

「ランデヴー」
上野 水香(スペシャルゲスト)
マチュー・ガニオ

 

ようやく生で拝めたマチュー・ガニオ。

一瞬たりとも見逃すまいと、1階席でしたが、オペラグラスで凝視!(笑)

 

1945年初演のパリ下町を舞台とした、偉大な振付家ローラン・プティ初期の作品。

「運命」から死を告げられるも、「世界一の美女と待ち合わせ(ランデヴー)」があると言って逃げ出した若者が、橋の下で「世界一の美女」と出会う場面です。

 

女性側がリードし、振り回されつつ、徐々に恍惚とした表情を見せていく青年を演じたマチュー、「バレエの王子様」と言われ続けた彼ですが、こうした表現が素晴らしくハマるように。

もうフランス映画を見ているような世界観。

 

そしてラスト、静寂が襲う中でのあの表情…忘れられません。

 

↓結末まで入ってますのでネタバレ注意です

 

これが初披露という上野水香さん、マチューをつき放し、操り、片時の夢を見せるミステリアスな「美女」でした!

小道具も使わないといけない難しい役どころだと思いますが、マチューとのパートナーシップも素晴らしかったです!

 

一瞬で、ドラマを生み出し、人生が見えるベテランの凄さよ…。

 

白鳥の湖より第二幕 アダージョとヴァリエーション

シルヴィア・サン=マルタン
パブロ・レガサ

 

パリ・オペラ座バレエの古典バレエの代表格である、ヌレエフ版「白鳥の湖」。

昨年の来日公演は逃した身としては、パリ・オペラ座の「白鳥の湖」を観られて嬉しかった!

 

まずは、ヌレエフ版だけで観られるジークフリート王子のヴァリエーション。

 

 

メランコリックで、手が届かない理想を追い求める若者の心を体現した、脆いジークフリート王子でした。

直近の公演では、悪役であるロットバルトを好演していたこともあり、一歩間違えれば、闇落ちしそうで危ない王子😂

ダークサイドと表裏一体みたいな王子像が、ヌレエフ版ド直球という感じで素晴らしかった!

 

あと、当たり前ですが、パブロ・レガサ、非常に「バレエが上手い」のですよね。

これ以上に的確な表現が出てこないのがもどかしいですが、とにかく「踊りが上手い」のです。

1つ1つのパが、すべて理想のポジションを通っていき、それをさらっと踊れてしまう上手さ、実は誰もが持っているわけではないタレント。

 

対するシルヴィア・サン=マルタンのオデットが、期待以上の素晴らしさ!

「白鳥の湖」で主演していないとは思えないほど、美しいオデットでした。

 

「白鳥の女王」というよりは、可憐な乙女のイメージを残したプリンセス。

ガラス細工か、陶器でできたバレリーナ人形のように儚くて、王子が優しく包み込みたくなる理想そのもの。

 

腕の動きが非常にエレガントで、まさに「パリ・オペラ座のバレリーナが踊るオデット」がそこにいました。

他のどのバレエ団とも違う、花が開いたような余韻が残るオデット。

抜粋とはいえ、これを観られたことがとても嬉しかったです。

 

ル・パルク

アマンディーヌ・アルビッソン
マチュー・ガニオ

 

今回のガラで、最も楽しみだった作品。

 

いや~、素晴らしかったです。

「これでしばらく他は観られない」みたいな名演と出会えることがあるのですが、まさにそれ。

「ル・パルク」ってこういう作品ですよね!という、フランス宮廷の恋の駆け引きそのもののドラマ!

フラゴナールの絵画が動き出したみたいでした。

 

 

当たり前ですが、男女どちらかだけが良くても成立しないのが、パ・ド・ドゥの難しいところ。

マチューとアマンディーヌ、「パリ・オペラ座のバレエダンサーとしての共演はこれが最後」と思いたくない、美しいパートナーシップを見せてくれました。

 

目線の先、お互いに触れていない指先、乱れた髪からもドラマが生まれてしまう雄弁さ。

あの「フライング・キス」が浮いて見えない、2人の対話の中で沸き起こったものと思わせる素晴らしさ。

 

 

アンニュイなムードを新年から存分に浴びてしまい、体感温度が急上昇しました😂

 

まさかの第一部だけでこれだけ書いてしまったため、後半はまたあとで!