クリスマス当日、有休を取得して、東京バレエの「くるみ割り人形」を観るため、兵庫県立芸術文化センターへ。


実は、私、「くるみ割り人形」を生で鑑賞するのは数年ぶり。

最後に観たのは、まさかのコロナ前!

そんなわけで、クリスマス当日に観る「くるみ割り人形」、会社のカレンダーに「チャイコフスキーとデート」なんて登録して、楽しみにしておりました。



東京バレエは初でしたが、まるで昔のバレエ絵本の挿絵が動き出したような、懐かしく、心温まる「くるみ割り人形」でした。



沖さんのマーシャと柄本さんの王子の素晴らしいパートナーシップが、この日の舞台の質をグッと引き上げていました。


柄本さんの王子が、初めて顔を見せるシーン、私の横一列が、全員オペラグラスをザッと構えたのが、群舞みたいでウケましたが、やはり注目のシーンですよね。

(私も構えました😅)


優しく包み込むような王子に導かれ、伸びやかに踊る沖さん、脚のラインの美しさ、そして強さに圧倒されました。

「脚だけで、音楽や感情を表現できる」というのは、やはりボリショイ仕込みなのでしょうか。

金平糖の精のヴァリエーションは、本当に絶品でした。


そして、2人の白眉は、やはりグラン・パ・ド・ドゥのアダージョ。

次々と繰り出されるリフトの数々は圧巻で!

特に、中盤で披露される、ボリショイバレエのグリゴローヴィチ版と全く同じリフト、ずっと静止していてびっくり!

「回る、跳ぶ、持ち上がる」という分かりやすいのが大好きな関西の客席、盛り上がりました(笑)


何より、柄本王子にエスコートされた沖マーシャの表情が、本当に陶酔しているようで、ロマンチック!


東京バレエの「くるみ割り人形」は、「マーシャの物語」ですが、これは同時に「ユカリーシャ(斎藤監督)の物語」なのでは、とも思わされました。

泣いてばかりいたマーシャが、旅を通じて成長し、王女として輝く様子。

ユカリーシャが、異国のロシアの地で、ボリショイ劇場のプリンシパルであるコーリャ(ニコライ・フョードロフ)と出会い、指導者たちに導かれながら、プリマ・バレリーナになる様と重なるようで。

(もちろん、私は斎藤監督の現役時代は見ていませんが、母が、「モスクワ・レニングラードバレエ研修ツアー」に参加しており、小学生の彼女を覚えているのです😅 「ユカリーシャ」の本も読みました。)



各国の踊り、バレエガラのようで、どれも凄く見応えありました!


伝田さんと宮川さんのスペイン!

皆さまイチ押しのキャストですが、素晴らしかった!

ドンキのグラン・パ・ド・ドゥが始まったのかなというくらい、キレッキレで、アピール充分。


このまま32回転回ってくれそうなスペインでした(それはない😅)



ガラッと変わって、政本さんと本岡さんのアラビア。


ドンキの次はシェヘラザードかな、というくらい異国情緒たっぷり。


終演後、小学校低学年くらいの男子が、「アラビア、めっちゃアラビアやった。蛇が出てきそうやった」って感激してて、「これは、将来有望なオタク!」って思いました😅

普通、小学校低学年で、アラビアの踊りの良さには目覚めないよ?(笑)



涌田さんと井福さんの中国は、可愛いのに、超絶技巧てんこ盛り!


井福さんのザンレールのぶれない軸、伸びたつま先に引き込まれました。


ワイノーネン版名物のあの跳躍もお見事!


男性がはけちゃった後、女性だけで見せ場をつくる涌田さんも素晴らしかったです!

中国で、女性の見せ場多いのも珍しいなと。



そして、加藤さん&後藤さん&樋口さんのトレパック(ロシア)!


跳んで、回って、分かりやすく派手なのが好きな関西人に刺さりまくり😅


このトレパック、斎藤監督にとっての思い出の国であるロシアへの想いがこめられているようで、温かい気持ちに。


きっと気持ちを込めて作られたんだろうなというのが伝わり、今の世界情勢も相まって、拍手をしながらジーンとしていました。



長谷川さん&長岡さん&山下さんのフランスも、キュートながら、回転をしっかりと見せて、客席を盛り上げました。(とにかく、回転技に弱い関西人😅)


これだけ踊れるソリストを揃えているので、ボリショイ式で、ギゴーニュおばさんの曲で、皆に踊ってほしかったです!


というか、他公演で主役を踊るメンバーを、各国の踊りに投入する贅沢さ!

こうした配役、大好きです(笑)


ネズミたちも、ファンタジーの世界そのままで可愛らしさとワルさが絶妙なバランス。

2幕冒頭、チーズの形の船を必死に漕ぎまくるチーム・マウスが微笑ましかった!

(現実世界で戦争があると、いくらおもちゃの兵隊でも、リアルな戦闘シーンだと辛いので…。おとぎ話の世界のままの演出に救われました。)

 

 

また、忘れてはいけないのが、雪のコール・ド・バレエ!

「東京バレエの雪は最高!」とは聞いていましたが、もう圧巻!


4階席から鑑賞しているのですが、もうスノードームにしか見えなくて!


冒頭、4人ずつ増えていくところから眼福でした。

途中で拍手が起こってしまったのも分かります!


そして、大阪フィルハーモニーの生演奏!

ロイヤルバレエの来日公演で、東京を抜いて、関西公演のオケが良かったと評判で、これがチケットをとった理由の1つ!


序曲だけで、絵本を読み聞かせるような優しさで、懐かしい気持ちになりました。

優しく、深みのある、そしてバレエの邪魔はしない演奏。

金平糖の精のヴァリエーション、最高でした。


チャイコフスキーに深く感謝した、クリスマスの夜。


老若男女問わず、幅広い客層で満席の客席から、鳴り止まない拍手!

「緞帳をこじ開ける、関西の大喝采」に応えて、何度も出てきてくださったダンサーの皆さま、ありがとうございました!