随一と間が空いてしまいましたが、「年を越してしまう前に、クラシック・バレエ界のダメンズたちにダメ出しを!」ということで!

 

いよいよ、バレエ・ダメンズ・グランプリ、名誉ある(?)第1位、そしてグランプリを発表いたします!

 

第1位

ソロル(「ラ・バヤデール」)

 

 

古代インドの勇ましく、女性たちの心も虜とするイケメン戦士!

だが、この男!非常に危険です!

その優柔不断さは、世界をも滅ぼす(笑)、「決められない男 ソロル」のダメさをたっぷりとご紹介します。

 

 

幕開け、颯爽と登場したソロルは、密かにお付き合いしている、寺院の舞姫ニキヤと待ち合わせ。

おい、寺院で逢引きして大丈夫ですか?というツッコミは置いておいて、神へ捧げる聖火の前で、ニキヤへ永遠の愛を誓います。

 

 

これぞ、バレエ界の掟「永遠の愛を誓うイケメン、大体噓つき説」だ!

適当な愛ばかり誓わされて、バレエの神様も大変ですわ。

 

キューピッド:え?私が矢を放つのが下手だから?仕方ないわ、弓道でも始めます。

 

 

その後、領主からお呼び出しを受けたソロルは、その娘である姫君ガムザッティとの結婚を命じられます。

「え!愛を誓った相手がいるのですが…」と、自らの主君へお断りができるはずはありません。

 

ここはソロルも可哀想だ…となるはずですが…

ちょっと、ストーップ!!!

 

Marianela Nuñez as Gamzatti, Cesar Corrales as Solor and a… | Flickr

 

このまんざらでもない表情、どうしたのですか?

え、「ガムザッティ、めっちゃ綺麗だし、お金持ちだし、彼女と結婚すれば将来が保証されてそうだし…」ですと?

全て顔に出てますわ。

 

良く言えば、現実的というか、現代社会では生きていけるタイプかも?

「理想をいえば、他にやりたいことがあるけれど、生活を考えたらこっちがいいかも…」というやつ?

いや、それを結婚へ持ち込むのはダメやろ!

 

さて、実はソロルは知らないところで、ニキヤ(自称「神へ愛を誓ってもらった本命」)とガムザッティ(正当な婚約者だったはずが、いきなり「自称本命」が出現してビビる姫)が、壮絶なキャットファイトを繰り広げるのですが…。

 

ガムザッティ「私は、身分も財産もすべて持っているわ♪✨お前は、ただの舞姫。ソロルとは不釣り合いよ!」

(注)戦士であるソロルは、カースト制度上はクシャトリヤ。一方で舞姫は最下層であるため、制度上はガムザッティが相応しい相手です。物価上昇で悲鳴をあげる庶民へとどめを刺すお姫様マウント!

 

ニキヤ「残念でした~。神様へ愛を誓ったから、あたしが勝ち~!」

聖域を恋人とのデートスポットとしておいて、よく神様を持ち出せるわと思いますが、神様マウントで姫もどうしてかタジタジ😂

 

挙句の果てに、ニキヤがガムザッティへ刃物を向けてしまい(お姫様の近くに刃物を置いておくのもどうよ😅)、姫のプライドに懸けて、恋敵は消されることに…。

 

そうして迎えた、修羅場の婚約式!

 

あっさりと結婚を受け入れた感があるソロルと、「彼をゲット!」で幸せムードのガムザッティというパワーカップルの踊りの後は…。

 

「恋敵の婚約式でお祝いの踊りを披露」という生き地獄を味わってもらうべく、お呼び出しを受けたニキヤの踊り。

「これのどこがお祝い?」というくらい、ソロルを失った自分の哀しみを表現した、バレエ版演歌(笑)

「山は燃えていますか?」😂

 

ガムザッティがこれ見よがしに、ソロルとのいちゃいちゃぶりをアピールし、追い打ちをかけます。

 

でも、そこへ「ソロルから」ということで、花篭の差し入れが!

 

ここから、解釈は踊り手によって分かれますが、一般的には、「ソロルはまだ私を想っているわ!」と喜びを爆発させて踊られることが多いです。

「花篭1つでどうよ?」と思いますが、それほど藁にもすがりたい気持ちだったと言えるかもしれません。

 

ところが!

実は、それは領主あるいはガムザッティが計画した罠。

仕込まれていた毒蛇に嚙まれたニキヤは、次第に意識を失っていきます。

 

 

ここで、ニキヤへ想いを寄せている大僧正が、「自分を受け入れてくれるなら、解毒剤をあげる」という酷い申し出を。

一度は、解毒剤を手にしたニキヤですが、最後の望みを託したソロルのとある行動を見て、生きる希望を失い、死を選びます。

 

ここまでで十分なダメっぷりを披露しているソロルですが、これでは終わりません!

 

ニキヤを失ってショックを隠せないソロルは、あろうことかアヘンで現実逃避!

薬物に溺れた彼は、「影の王国」で、ニキヤの幻と再会し、自分が本当に愛していたのは彼女だったと悟ります。

 

 

「影の王国」については、こちらでもご紹介しています。元の台本でのニキヤとソロルの会話も(笑)

 

現実に戻ってきたソロルを待っていたのは、ガムザッティとの結婚式。

幻覚を見た時は、ニキヤへの愛へ燃えていましたが、薬なしではどうにもできず、神へ結婚を誓ってしまいます。

 

すると、偽りだらけの結婚に、(ようやく)神様も激怒!

世界は滅亡し、ソロルの魂は、ニキヤと結ばれます。

 

 

世界を滅ぼしたクズっぷり、皆様からも厳しいコメントが多数寄せられております(笑)

 

”権力に目がくらみ、恋人が亡くなってからは薬中になるところです!どこをとっても弁護のしようがありません”

 

”自分が優柔不断だったために恋人を死なせて、その後アヘンを吸って現実逃避するとか女々しすぎだろと思いました笑”

 

”ニキヤをあっさり裏切りガムザッティ姫に乗り換えた結果、2人の美女を不幸にしただけでなく寺院をも崩壊させ死者多数を引き起こしたトンデモ男”

 

”二股、薬漬け、そして神殿を崩壊させて皆死亡BAD ENDはさすがにワースト”

 

”ガムザッティに尻に敷かれてる感、何も言えなくてドギマギしてるとこ、イライラします。笑”

 

”ニキヤが毒蛇に噛まれて、大僧正に脅されている時に、ソロルを見たニキヤから目を逸らすところが最低だと思ってます…。”

 

”お前さんにはニキヤもガムザッティももったいないわ!”

 

さて、お口直しとして、「ラ・バヤデール」全幕映像をご紹介します。

優柔不断なソロルが、世界を滅ぼしてまで選んだ相手は誰だったか、衝撃の結末を目撃せよ!

 

 

 

このダメンズが観られる公演

 

・谷桃子バレエ「ラ・バヤデール」@東京文化会館

 1月18日(土)、19日(日) 

 ※18日(土)公演のみ僅かですが残席あり

 
 
 
 
 
・日本バレエ協会「ラ・バヤデール」@東京文化会館
  • 3月1日(土)18:00開演(17:00開場)
  • 3月2日(日)13:00開演(12:00開場)、18:00開演(17:00開場)

 

※バレエ協会公演は、出演者へチケットノルマがあるそうです。出演者にお知り合いがいらっしゃる方はぜひお声がけを!