大変ショックなお知らせが飛び込んできました。
映画「ファースト・ポジション」でも取り上げられていた、バレリーナのミケーラ・デプリンスが、急逝したとのこと。
まだ29歳という若さでの突然の訃報に、バレエ界からは驚きと悲しみの声があがっています。
シエラレオネで生まれ、内戦で孤児になったミケーラ。
引き取り手がおらず、孤児院へ入れられた彼女は、身体に白斑があったことから、「悪魔の子ども」だと気味悪がられ、孤独な少女時代を送りました。
そんな彼女の人生を変えたのが、たまたま拾った1冊の雑誌。
表紙に掲載されていたバレリーナの写真に釘付けになったといいます。
ただ、それが美しかったからではなく、そのバレリーナが「幸せそうだったから」。
そして、「自分もいつか幸せになれるかもしれない」。
その思いだけで、雑誌を切り取って、下着の中へ隠したのだそうです。
孤児院へ来ていた先生から、それが「バレエ」であることを教わり、絶対に自分もバレリーナになると決めたミケーラ。
やがて、里親と巡り会い、あの雑誌の切り抜きを見せて、バレエを習い始めました。
彼女がバレエと出会い、里親と出会うまでを語るTED Talk。
著書「夢へ翔けて ~戦争孤児から世界的バレリーナへ~」のプロモーション映像。
彼女が世界へ知られるきっかけとなった映画「ファースト・ポジション」
南アフリカバレエシアターへのゲスト出演でプロ・デビューを果たしたミケーラは、その後、ダンス・シアター・オブ・ハーレムを経て、2013年にオランダ国立バレエのジュニアカンパニーへ。
そして、2016年にはオランダ国立バレエでソリストまで昇格し、2022年からはボストン・バレエへ移籍。
プロ・デビューである南アフリカバレエシアター「海賊」(2012年)
主役のスワニルダを務めた、バレエ映画「コッペリア」。
ボストン・バレエ「くるみ割り人形」より葦笛
自らがバレリーナとして活躍する傍らで、オランダの非営利団体War Childの親善大使を務め、チャリティーガラを各国で開催する等、不利な境遇に置かれた若者への支援活動にも取り組んでいました。
本当に、早すぎる死に、どうして?というやるせない気持ちしか起こりません…。
ご冥福をお祈りいたします。
所属していたオランダ国立バレエからも、追悼メッセージが発表されています。
ユース・アメリカ・グランプリ公式からの追悼メッセージ。
こちらも「ファースト・ポジション」で共演したジョアン・セバスチャン・ザモーラからの追悼メッセージ。
14歳のミケーラが出演した「ファースト・ポジション」、プライムビデオで見放題配信中です。
ミケーラの自伝「夢へ翔けて 戦争孤児から世界的バレリーナへ」邦訳も出ています。
