ローザンヌ国際バレエコンクール2024も無事、ファイナルまで終了。
日本からもファイナルへ3名が進み、2名が上位入賞!
最近は、ローザンヌ国際バレエコンクールも、テレビ放送前に、ライブ配信で見られるようになり、リアルタイムで視聴されていた方も多かったようですね。
で、こればかりは、本当に考えてはいけない、期待してはいけないと思うのですが、
ローザンヌやユースグランプリといったバレエコンクールを観るたびに、とあるレジェンドが頭をよぎるのですよね。
はい、言わずと知れた熊川哲也氏、ローザンヌでの伝説の「ドン・キホーテ」。
熊川氏がテレビで取り上げられると、必ずといっていいほど、経歴紹介で登場するあのパフォーマンスでございます。
ローザンヌ国際バレエコンクール、結局、この御方を超える衝撃ってないのでは。
— バレエ好きの経理担当者 (@VumnujewAd8EPFA) February 3, 2024
35年前、小柄な日本人男性が、世界への扉をこじ開けて、今観ても色あせることがない、この「ドン・キホーテ」。
観る人の心も一緒に跳び上がるワクワク感。
良い意味で「やらかしてくれそう」というやんちゃさが凄い。 pic.twitter.com/RMjkjVJK68
これが35年前、小柄な日本人男性が、世界への扉をこじ開けた、日本人バレエダンサーの前に立ちはだかっていたであろう様々な壁(持って生まれた条件はもちろん、国内でのバレエダンサーの認知のされ方等)を全て飛び越えた、その瞬間だと思うのです。
ひと昔前のローザンヌ国際バレエコンクール、隠れファンも多い(?)クロード・ベッシ―女史をはじめ、愛があるが故の辛口解説が名物。
熊川氏が、出場した1989年は、ベッシー女史ではなく、元パリ・オペラ座バレエ芸術監督のヴィオレット・ヴェルディですが、ベッシー女史よりは控えめながら、最近の解説と比べると、まだまだビター。
その解説陣ですら、「両目をしっかり開いて観る価値がありますよ!」と太鼓判を押す逸材が、熊川氏でした。
大絶賛のあと、「敢えて欠けているものを挙げるとしたら?」と聞かれて、「踊るためのバレエ団かしら。あと、膝下が数センチ長ければ…」と身体条件の話題になりますが、直ぐに「でも、彼の踊りは、そんなこと忘れさせてくれますよ!」とフォローが入っているので、これは東洋人に対して、異例の大絶賛だったと思います。
35年前の熊川哲也氏のローザンヌ国際バレエコンクール、リアルタイムで視聴された方、更には会場でご覧になった方からまで熱いコメント、ありがとうございます。
— バレエ好きの経理担当者 (@VumnujewAd8EPFA) February 4, 2024
北海道の大地を走り回る少年そのものの、自由演技もどうぞ。
辛口解説も思わず「ボールと戯れ、ボールと踊っていましたね」。 https://t.co/8pybJiifBi pic.twitter.com/0FsYFpJ18W
また、やっぱり熊川氏って、凄かったんだと思わされたのが、X(Twitter)上での皆様からの熱いコメント!
当時、リアルタイムでテレビでご覧になった方々、更には、実際に会場で(この年は、東京青山で開催)ご覧になったという方々からも、コメントが寄せられ、X(Twitter)の通知が止まらない、止まらない。
直接投稿を貼り付けると、プライバシーとかもあると思うので、コメントのみ抜粋させていただきます。
「あの瞬間の衝撃、今でもハッキリと覚えています!(審査員と客席の興奮もTV越しに伝わってきました。)ぼんやりと観ていたら、突然レベルの違うダンサーが出てきて。日本の生徒によくある「お手本通り」の踊りじゃない!ワクワク感と存在感、そして高度な技術。本当に衝撃的でした!」
「私この時観客席で観ていました。ラッキーな事にこの劇場(今はなき青山劇場)と同じ法人で働いていたので。海外初のローザンヌを主催された方達は、大変な苦労をしてましたが、熊川氏が活躍し本当に喜んでいました。コンクールだから拍手禁止でしたが、この時は誰もやめませんでした」
「あの日、テレビで偶然リアタイして茫然としました。茶の間でおもわず拍手。終わってから、録画していなかったのが残念で残念で。やっとまた見ることができました。ありがとうございます。このときの解説者の「彼のひざ下が短いのが気になるけど、まだ16だから。」なんて発言が記憶に残ってた。」
特に、「バレエは、あまり詳しくはないけれど、たまたまテレビで観ていて釘付けになった」「バレエは分からなくても、凄さが分かる」というコメントが一定数あり、それこそ、熊川氏が開拓した道だと思わされました。
男性バレエダンサーが、「職業」として認められていたとは言い難い時代、世間一般に広く「バレエダンサーってカッコイイ!」と思わせた、その偉業があるからこそ、日本からこれだけのバレエダンサーが育ったといっても過言ではないと思います。
ロイヤルバレエの座を捨て、バレエダンサーが食べていけるプロのバレエ団、プロを養成するバレエ学校、ダンサーを目指す若者のための財団と、欧米では国がやっているようなことを、全て個人で作ってきた凄さ。
やはり、彼は、バレエの神様に選ばれた天才、あるいはバレエの神様の生まれ変わりだと思わされます。
私は、「熊川哲也は凄い!」と知った上で、ローザンヌの映像を観ていますが、リアルタイムであれをご覧になった皆様には、どれほどの衝撃だったか。
テクニックやスタイルは、格段に進化した今でも、これを超えるパフォーマンス、「やってやるぜ!」みたいなガッツを感じる若手がまだ出てこないな…と毎年少し寂しくなります。
一体、どこが違うのでしょう。
それが、上手く言語化できたら、「天才」という言葉は不要でしょうが。
ローザンヌ国際バレエコンクール2024の決選の日、ふとした呟きへの皆様からの熱いリアクションで、35年前の「熊川哲也少年」が、もう一度世界へ羽ばたいていったように見えて、エモい(死語?)と思ってしまった男性会社員でした(笑)
↓1989年、伝説のローザンヌ国際バレエコンクールは、こちらから。
熊川氏以外も、「マシュー・ボーンの白鳥の湖」で有名になったアダム・クーパーをはじめ、日本からは、後にボリショイ・バレエで活躍する岩田守弘さん、宮内真理子さん等も出場。
↓こちらは、ドキュメンタリー。
「拍手禁止にもかかわらず、拍手が沸き起こった」熊川氏の準決選も映ります!
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