ぴょんちゃんに借りた宮本輝シリーズ第4弾。

生まれた直後に自分を捨てた母親へのこだわりと、

なぜ捨てることになったかという物語と、

突然自分の目の前で飛び降り自殺した女の子とが

「落ちていく宿命」に結びついていく物語。

といってもそんなに難しい主題があるわけではなく、

全体を包む宮本輝独特の雰囲気にひたれる秀作です。

主人公が妄想なのか両性具有的なところがあったり

それが睡蓮の特質と結びついていたり、なかなか奥の

深いものも感じます。中標津・羅臼の民宿でやまもりの

カニが出てくる場面、おいしそうです。いってみたくなります。

ぴょんちゃんがカニ大好きで、僕もこの前カニ道楽で焼きタラバに

はまった直後のため、もうこれだけで知床行きたくなります。

それはさておき、自分といると大切な人がみな不幸になると感じた

母親が子供も捨てていく気持ちを考えると、宿命という言葉のもつ

重みを感じます。たぶん宮本輝の一大テーマで、流転の海4部作にも

ずいぶん宿命に通じることが出てきます。宮本輝的には、宿命に

立ち向かうのではなく、それを抱き込んだ上で前を向いていこうと

いうメッセージがこめられていると僕は思えます。