けさ、民放の番組で旧統一教会をめぐる議論を見ました。

マインドコントロールされてしまった信者の家族は、

愛する妻やわが子、親などを洗脳から解いて自分達の元に連れ戻そうと必死なのだ、

話し合いに応じてもらうことさえ難しいがゆえに、

過去には強硬なやり方で教団から連れ出して監禁に近い行為に走るケースもあった

…という話をしていました。

 

障害を抱えるようになって、

それまで「夫婦の共通言語」だったはずの言葉、考え方が通じなくなり

気持ちが全く通い合わなくなった元夫とのすれ違いの議論には心底、疲弊しました。

「このすれ違い方、しんどさはカルト教団に洗脳された人の家族と似てるのでは?」といつも思っていました。

アホかと言われても仕方ないけど、

義母と義妹は、

私達の大切な人を高い塀の向こうに囲い込んで

私達と対立させる「教団アジト」のような存在でした。

 

違う例え方をするなら、童話の「雪の女王」の世界。

少女ゲルダと少年カイはとても仲良しだったのに、

ある日、意地悪な雪の女王がカイの心臓と目に鏡のかけらを刺した途端、

その心は氷のように冷たくなり、ゲルダを拒絶します。

そして、女王によって氷の国にさらわれていく。

 

 

 

私は、いつか何かの拍子に夫の目から鏡のかけらがぽろりととれて

優しくて「家族命」の夫、父親に戻ってくれるんじゃないか、

「あれ? 何だか随分長いこと眠ってたみたいな気分やな。

なんや、左手足が動かしにくいなあ。

がんばって治さないと、カオルとスキーもキャッチボールもできへんようになって

嫌われてまうなあ。

Daiちゃん、苦労かけるけど助けてな」と言ってくれるんじゃないか。

自分はその時まで頑張るべきじゃないかと、

繰り返し繰り返し考えました。

そんなことを元夫に言うと、

「くだらない。悲劇のヒロイン気取りか?」と言われました。

 

心に異物が刺さってしまっただけのカルト信者やカイと違い、

元夫の前頭葉に起きた形質的な変化は不可逆的なもので、

もう元に戻ることもないし、そんな脳が司る彼の行動や言葉もこの先、もう変わらない。

そのことを、自分の胸の深いところに沈めて受け入れるまでに3年かかりました。

人の心とはすなわち脳なんだと、元夫を通して理解しました。

 

旧統一教会信者の家族は本当にしんどく、辛いと思う。

でも、彼らの大切な家族が、いつか「こちら側」に戻ってくる可能性がゼロではないこと、

そう信じる気持ちをエネルギーに変えられることが、私にはうらやましい。

私と息子の大切な家族、仲良しだったカイは、

自分の目に鏡のかけらが刺さっていることに一生気づくことすらなく、

雪の女王とむつみ合っている。この先もずっとそうやって生きていくんです。