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プラスチックでアクセサリーづくり
人数多くて大変やった…笑


ニーナ中学校で働き始めて一か月半ほどが経過した。相変わらず変更の多い時間割で、教える予定でなかったクラスを受け持つことになったり、受け持つはずのクラスが消えたりと交渉の余地もなく振り回されている。

 

当初は協力隊としての方向性や、ニーナにおける存在意義を気にして懸命にどうにかしようと動いていたが、最近は「大人のため」に働くのではなく、「子どもと楽しむ」ことにフォーカスを置いて生活をするようにしている――そうすると心はかなり楽になった。

 

なぜだろう、子どもたちが私を透明な瞳で見つめるからだろうか。無条件に愛してくれるからだろうか。彼らと直接的に関わることのできる50分が愛おしくてたまらない。

 

うるさいクラス、しけたクラス、気難しいクラス、積極的なクラス――どのクラスにいる誰もが、私が真剣に話しかけると真剣に答えてくれた。つまらないと感じている子は顔に書いてあって、面白いと感じている子は毎日挨拶をしてくれるようになる。なんて分かりやすいのだろう。何百人といるけれど、いつか皆の名前を憶えられたらいいな。

 

彼らが絵を描きたいのならうんと書かせてやりたい。映画を観たいのならとっておきの映画を見せてあげたい。何か困ったことがあったなら、私のできることならベストを尽くして助けてあげたい――心の底からそう感じるのだ。

 

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授業の合間に教材作り

だから生徒とあまり関わることのできない土日ほど辛いものはない。

 

授業のない日はできるだけ出かけることにしている――それはニーナが閉鎖的な空間であり、閉じこもっていると「カメルーン」が見えないからである。大人から遠ざかり、子どもやニーナの外に居場所を求める――正しいことかはわからないが、此処で笑って生きるために必要なことなのだ。

 

ムバルマヨの街でも友人が増え始めた。ニーナの正面のブティックの浮かない青年、孤児院のパパと子どもたち、バーで昼から飲んだくれている日曜日の教師、ニーナまで車で送ってくれたスタッフ、鏡のような川、閑散としたマルシェの中央通り、一緒に授業の材料の買い出しについてきてくれる生徒たち、馴れ馴れしく声をかけてくる通行人――人々を通して、ムバルマヨを通して私の固定概念が痛快な音を立てて崩れ去った。

 

今日、授業のない午前中にぶらぶらニーナ内を歩いていると、いつものように洒落た水色のシャツといかにもミュージシャン的な黒いキャップを被ったリミスさんが、彼が音楽を教えている森林学校に連れて行ってくれるといった。学生軍隊のファンファーレを指導する本格的な音楽の授業だった。

 

バイク・タクシーは禁止されているので、彼は気を遣って私と一緒にタクシーを探してくれた。授業終わりに彼の行きつけのバーで飲んだ。まだ朝の11時半だった。

 

「一杯くらいならどうってことないだろう?」

 

その薄暗い店は人でいっぱいで、テーブルに座っている男どもがビール瓶片手に何か話している。カメルーンは自由だな、と感じた。

 

ぬるいビール瓶が二本テーブルに運ばれ、私たちはうまいと言いながら飲んだ。

午後に2人とも授業があるというのに、そのご当地麦酒をゆっくり味わいながらいろんな話をした。本当にいろんな話をした。

 

リミスさんが離婚した妻と才能あふれる彼の息子のこと、彼の親と母語のこと、若い頃の彼の恋愛のこと、ニーナにいる彼の親友のこと、音楽を教えるということ、ニーナのシステムのこと――たった一時間ほどのことだったが、不思議なくらい充実していた。

 

リミスさんは私の漠然と抱いている不安やストレスに気づき、驚くべき鋭さで私の拙いフランス語から気持ちを丁寧に読み取ってくれた。

 

「大切なのは言葉じゃなくて、人間性だとおもう」

私は心からそう言った。

 

それは知っていたようだけれど、驚くべき発見だった。

 

子どもたちの祈りの歌で目覚め、教室がエネルギーに溢れる朝

木に色を塗っただけの今にもはがれそうな黒板

私の名前を呼んで道路を横断して来ようとする小学生

親切な行きつけの文房具屋さん

スコールが降る夕暮れに雨宿りがてら「もっかいビールを飲もう」と言うリミスさん

毎日決められたプログラムの中で生活している寮の生徒たち

無言の昼食を摂る寮の大人たち

ファンファーレを奏でる学生たち

 

織り交ざったすべての人々が、出来事が、言葉が――私の瞳の中のカメルーンとしてここに綴られている。明日も街へ繰り出そう。


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端切れを使ったお花のモチーフ作り中
熱中する生徒たちが、可愛い!!