青い海や、美しいホテル。高々そびえる山脈や高層ビルの並ぶ華々しい街。
憧れは遠く彼方だ。

手に持っているものを見ず、人の持っているものにばかり目をつけて欲しい欲しいと喚いているだけなのだろうか。

赤土の大地に大粒の雨とともに落ちてきた雷や、見たこともない形の木々や、めちゃくちゃな道路を毎日見ているうちに、

「地球の歩き方」に載っているような素敵な観光地に全く無縁なこの場所と、自分がここにいるという不可思議な事実が面白く感じ始めてきた。

丘になっているBastosの下り坂から、湿った緑色の木々に囲まれたのどかな街並みが見える。
そこに麒麟が歩いていたらいいのにーーそんな妄想を抱きながらイギリス、中国、エジプトの大使館を横切った。

みんなが思ってるほど
悪いところじゃないーーそう思った。

それでもこの場所に来なければ
理解ができない不安や葛藤がある。

それは、
私だけが抱いているものなのだろうか。

それともここへ来た人がそれぞれの形で
抱いてきた気持ちと同じなのだろうか。



「肌の色や話す言葉が違えど
皆同じ人間だ」

一見深みのありそうなそんな言葉も
飲み干されたペットボトルのように揉みくちゃにされてしまうくらい、人は違う。

綺麗 汚い、明るい 暗い、面白い 面白くない、優しい 冷たい、分かる わからない、安い 高いーーこれまでの全ての価値観は覆され、全てはまるで敵のようで(?)、言葉は伝わらなくて、聞き取ることもできない。

呆れた顔をするホストマザー、運転の荒いタクシーの運転手、汚い車内、ガソリン臭い道路、悪臭の漂う川、残飯で汚れた手で私の髪を触る子どもたち。

私の語学力では
カメルーンを垣間見ることさえできない。
人と理解し合うということは
とてもとても難しい。

日本に生まれ育った者同士でさえ
それは難しいのにーー

全く違ったこの地に生きる人々と
私はどのようにして溶け合ってゆくのだろう。


最近よくスコールが降る
汚いものを全部洗い落として
赤土に混ざった血のような川ができる。

近いところで雷が光り
大風に木々がキラキラ揺れる

とにかく、語学…。
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