「たくさん資料を渡しているのに、AIの回答が浅い…」「PDFを読ませたはずなのに、重要なところを拾ってくれない…」 そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
実は、AIの賢さは“中身”だけでなく「データの渡し方」と「文章の構造」で大きく変わります。
同じ内容でも、形式が違うだけで結果がまるで別物になることが珍しくありません。
このブログでは、
- AIにとって「読みやすい」データ形式とは何か
- なぜマークダウン(Markdown)がAI時代の必須スキルなのか
- 長い議論・大量データをAIと上手に扱うコツ
- 今日からすぐにできる具体的なアクション
をまとめて解説します。
読み終わるころには、「AIに渡す資料の作り方」そのものが変わり、仕事や勉強の効率が一段上がるはずです。
1. AIへのデータ渡し方とファイル形式 ─ 何をどう渡すかで精度が変わる
まず押さえたいのは、AIは「テキスト」が大好きだということです。
① テキスト形式(最推奨)
- .txt や プレーンテキスト、マークダウン は、AIにとって最も読みやすい形式です。
- 余計なレイアウト情報がなく、「中身の文章」にだけ集中して解析できます。
② PDF / Wordファイル
- PDFやWordもAIは読めますが、人間向けの見た目の工夫はほとんど伝わりません。
- 例えば、次のような装飾はAIにはほぼ無視されます。
- 文字の色
- 太字(一部のAIは認識してくれるが、完全ではない)
- 下線や文字の大きさ
- 段組・囲み枠・背景色などのレイアウト
人間には「強調」や「見やすさ」として効果的でも、AIにとっては単なるテキストの塊になっていることが多いのです。
③ 図表・グラフ・画像
- グラフや図は、AIから見ると基本的に「画像」です。
- 数値や関係性を細かく理解するのは苦手で、読み取り精度も限定的です。
- そこで重要なのが、図のそばにテキストで情報を補足することです。
例えば、次のように書き添えます。
【図1の説明】
2020~2024年の売上推移を示す折れ線グラフ。
2020年:1,000万円、2021年:1,200万円、2022年:900万円、2023年:1,500万円、2024年:1,800万円。
こうしておけば、AIはグラフを見なくてもテキストだけで内容を理解できます。
2. マークダウン記法(Markdown)のメリット ─ AIと人間、両方に優しい「文章の骨組み」
マークダウンは、「文章の構造」をシンプルな記号で表現するルールです。 AI時代の今、これは小さなスキルに見えて、実はかなり強力な武器になります。
① 見出し・箇条書き・強調で「骨組み」を伝える
よく使うのは、このあたりです。
# 大見出し ## 中見出し ### 小見出し - 箇条書き1 - 箇条書き2 **ここを強調したい**
- # や -、** のような記号を使うだけで、文章の構造をAIに明示できます。
- AIは「どこが章のタイトルで、どこが具体例で、どこが重要なポイントか」を理解しやすくなります。
結果として、
・要約が的確になる
・見落としてほしくないポイントを拾ってくれる
・論理の流れを崩さずに整理してくれる
など、アウトプットの質が目に見えて良くなります。
② GoogleドキュメントやWordからも変換できる
- GoogleドキュメントやWordで作った文章も、拡張機能やツールを使えばマークダウンに変換できます。
- いきなりゼロからマークダウンで書かなくても、「仕上げとしてマークダウン化する」という使い方が現実的です。
③ プロンプト自体もマークダウンで書くとAIの理解度UP
実は、「AIに渡す指示文(プロンプト)」もマークダウンで書くとかなり読みやすくなります。
例えば、
次の3点について整理してください。 1. 要点の箇条書き 2. 重要な数字 3. 今すぐできるアクション
と書くだけで、AIは「3つの項目に分けて答えればいい」と理解しやすくなり、
ダラダラした長文ではなく、欲しい形で返してくれる確率が上がります。
3. 大量データと長いチャットをどう扱うか ─ 「要約+引き継ぎ」で賢く運用
仕事や研究でAIを使っていると、チャットがどんどん長くなっていくこと、ありますよね。 すると、だんだん
- 「最初に話していたテーマ」を見失う
- AIの回答が過去の文脈をうまく踏まえなくなる
ということが起こります。 ここでも役立つのが、マークダウン形式での要約です。
① 「ここまでをマークダウンで要約して」と頼む
チャットが一段落したタイミングで、AIにこうお願いしてみます。
ここまでの会話を、次の形式でマークダウン要約してください。 # 今日のテーマ - 一文で要約 ## 決まったこと - 箇条書き ## まだ決まっていないこと・次に考えること - 箇条書き
- これで、「会話の設計図」のような要約が手に入ります。
- その要約をコピーして、新しいチャットの最初に貼り付けることで、スッキリした状態から議論を再スタートできます。
② 一度に全部渡さず、「分割・要約・階層化」する
大量の資料を渡すときは、「一気に全部突っ込まない」のがコツです。
- まずは1章ごとに要約を作らせる
- その要約だけを集めて「全体の要約」を作らせる
- 必要な部分だけ原文を追加で読ませる
このように段階的に扱うことで、AIも自分も迷子になりにくくなります。
③ 過去ログの検索に頼りすぎない
Geminiなど一部のAIは、過去のチャット履歴を参照できます。 ただし、ログが膨大になると、「本当に重要な部分」だけを正確に拾ってくれるとは限りません。
だからこそ、要約した「ログのエッセンス」を都度渡す習慣をつけると、 精度が安定し、再利用もしやすくなります。
4. 今すぐできるアクション ─ 今日からAIとの付き合い方をアップデートしよう
最後に、誰でも今日から実践できる具体的なステップをまとめます。
ステップ1:AIに読ませる前提でドキュメントを書く
- 装飾だらけのWordやPDFではなく、構造化されたテキストを意識して書く。
- 見出し・箇条書き・番号付きリストを積極的に使う。
- 慣れてきたら、最初からマークダウン形式でメモを書くのもおすすめです。
ステップ2:「マークダウンで要約して」とAIに頼む習慣をつける
- 長い議論の区切りごとに、AIにマークダウン要約をお願いする。
- その要約を「議事録」や「次のチャットの入口」として再利用する。
ステップ3:図・画像には必ずテキストの説明を添える
- グラフや図表には、数字・傾向・結論を短くテキストで書き添える。
- 「この図から言えることは何か?」を一文で書いておくだけでも、AIの理解が段違いになります。
5. まとめ ─ 「形式」を制する者は、AI時代の情報戦を制する
AIをうまく使えるかどうかは、意外なほど「文章の中身」よりも「渡し方・構造」に左右されます。
- テキスト形式+マークダウンで、AIにとって読みやすい資料を作る
- 長いチャットはマークダウン要約で区切り、整理しながら進める
- 図やPDFに頼りすぎず、テキストで中身を説明してあげる
これらを意識するだけで、AIから返ってくる答えの質は驚くほど変わります。
「なんとなく使っている」状態から一歩抜け出して、AIを“相棒”として本気で使いこなすための第一歩として、 ぜひ今日のチャットから試してみてください。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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