千葉県鋸南町岩井袋浅間神社のウバメガシを訪ねました。この辺りを訪ねるのは2020年1月以来です。保田駅・安房勝山駅にあるレンタサイクルを利用しました。
鋸南町は水仙の日本三大群生地の一つです。ちょうど見頃を迎えていたので併せて訪ねました。
【江月水仙ロード】
鋸南町では、「江月水仙ロード」と「をくづれ水仙郷」にニホンズイセンの群生地があります。また、鋸南町は河津桜(頼朝桜)も有名です。
ニホンズイセンはヒガンバナ科スイセン属の多年草です。和名はニホンズイセンですが、原産は地中海沿岸地域で、シルクロードを経て中国に伝わり、中国南部から海流にのって漂着したものが自然繁殖したとされる説と、奈良~平安時代にかけて中国から持ち込まれたとされる説があります。
清楚で可憐な花と甘い香りで、私の好きな花です。
オオイタビ。クワ科イチジク属の常緑つる性木本です。学名の「フィカス・プミラ」の名で観葉植物としても流通します。房総半島を北限とする植物は多いですが、オオイタビもそのひとつで、植生から考えても東京より暖かいことがわかります。周囲の植生は、スダジイ・アカガシ・マテバシイ・タブノキなどの照葉樹林です。
【岩井袋浅間神社のウバメガシ】
ウバメガシは関東では植栽は普通に見られますが、自生は極めて少なく、千葉県では重要保護生物、神奈川県では絶滅危惧ⅠA類に指定されています。ここのウバメガシは「原正利・尾崎煙雄・磯谷達宏 分布北東限の自生地におけるウバメガシの分布と生育立地 千葉中央自然史研究報告 2005年」、「千葉県レッドデータブック-群集・群落編」に詳細が記載されています。
5年前は本殿への行き方がわかりませんでした。境内入って左手に入口があり、急な階段や斜面を登っていくと本殿に辿り着きます。
ウバメガシは岩場の急斜面で優占していました。基本種ウバメガシと変種ケウバメガシの両方が見られました。
ウバメガシの自生は、私は伊豆半島や愛知県南知多町羽豆岬でも見たことがあります。ここでは子浦のウバメガシ群落(下記リンク参照)と違い、クロマツが見られずイブキが混生していました。
ウバメガシとイブキ。
植生はウバメガシ・トベラ・イブキを中心に、マルバグミ・マサキ・ヤブニッケイ・シロダモ・ヒメユズリハ・ヤブツバキ・ビワ・カクレミノ・イヌマキなどが混生していました。本殿辺りはイブキが優占でウバメガシはありませんでした。
岩井袋では浅間神社だけでなく、その周辺にもウバメガシが分布しているそうで、房総半島・三浦半島において最大規模のウバメガシ群落だそうです。また、この辺りでは南房総市岩井にもウバメガシの分布があるそうです。
尚、千葉県では海岸付近の崖や稜線にカシワが点在するそうで、浅間神社でもコガシワの記録があるようですが、今回は両種とも見られませんでした。2009年の千葉県レッドデータブックによると、上総湊・富浦辺りにカシワの分布印が書かれています。「千葉県レッドデータブック-群集・群落編」では、鴨川市天津松ヶ鼻にカシワ群落があることが記載されており、昨年7月に訪ねてみましたが、見つけられませんでした。千葉県のカシワ、非常に気になります。