2024年9月23日掲載

2025年9月18日改訂・再掲載

 

これまでに愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で撮影した写真を本稿にまとめます。私が当地を初めて訪ねたのは2015年5月のことです。以来、フモトミズナラのどんぐりの時期に何回も来ています。当地は、フモトミズナラ自生地としては最も有名な場所でしょう。

 

【林床花園】

園内中部の林床花園にもフモトミズナラがあることを知り、2025年9月15日に初訪問しました。シブリパーク内を通りますが、無料で行けました。園内北部にはアベマキ・コナラ・フモトミズナラの3種の若木が植栽されたエリアがありました。

褐色に色づいてきたフモトミズナラのどんぐり。

モンゴリナラ(学名:Quercus mongolica)のように、堅果の大部分が殻斗に覆われた個体も見られます。

フモトミズナラの成木①

まだ青いどんぐりも沢山あるので、9月下旬までは落ち続けると思います。

フモトミズナラの成木②

葉の切れ込みが深い個体。北関東では時折見ますが、東海では初めて見ました!

フモトミズナラは、2005年の愛・地球博(愛知万博)の時に話題になり(当時の呼称はモンゴリナラ)、私もその時に知りました。

フモトミズナラと命名されたのは2006年のことです。2025年は愛・地球博から20年、2026年はフモトミズナラの命名から20年となります。

様々な見解が議論されてきたフモトミズナラですが、2022年にQuercus mongolica var. mongolicoides(モンゴリナラの変種)という新学名が提案されました。結局のところ、モンゴリナラと殆ど変わらないのでしょう。

2025年はフモトミズナラのどんぐりが豊作でした!林床花園は、園内南部の親林楽園よりも撮影に適したフモトミズナラが多かったような気がします!


【親林楽園】

レンタサイクルで行くこともでき、サイクリングコース沿いでもフモトミズナラが見られます。

フモトミズナラ・コナラ・アカマツが優占し、クリ・ツブラジイ・リョウブ・コバノミツバツツジ・アカメガシワ・ソヨゴ・ヒサカキ・ネズなどが混生しています。フモトミズナラが優占するエリアは、土壌が浅く非常に乾燥した場所です(2021年9月10日撮影)。

また、フモトミズナラの優占エリアにはアベマキはありません。日本どんぐり大図鑑(2004年3月刊行)では、海上の森のフモトミズナラが記載されていますが、現在の海上の森はアベマキ・コナラが優占種で、アラカシ・ツブラジイも多くなってきており、フモトミズナラはごく少数です。遷移の進行で減少したのでしょうか?アベマキも乾燥に強いですが、フモトミズナラはアベマキよりも痩せ地に生え、先駆的に見えます(2021年9月10日撮影)。

フモトミズナラは北関東では樹高15m程度になりますが、東海では樹高5~10m程度です。北関東よりも土壌が痩せているためでしょうか?(2021年9月10日撮影)

かつて、この辺りは過度の土地利用や地質的な要因により荒廃した禿げ山となっていました。そのため、堰堤の設置やマツ・ヤシャブシ等の肥料木を植栽した治山事業が実施されました。その後、植生遷移の進行によって現在の植生になったそうです(2024年9月20日撮影)。

2025年9月に来た時は、親林楽園のブナ科樹木に台詞が書かれた板が設置されていました。アベマキだけ尾張弁でした。トキントキンは「尖っている」という意味です。

もりの学舎前のデッキから撮影したフモトミズナラ(2018年9月13日撮影)。2024年は並作程度でした。また、ヤマグリの実も落ちていました。

もりの学舎前のデッキでは、フモトミズナラの撮影がしやすいです。

2025年9月の訪問時には、フモトミズナラの説明板がつけられていました。

もりの学舎前のフモトミズナラ②

 

フモトミズナラは、愛・地球博記念公園駅北東の愛知県立大学長久手キャンパスにも沢山生えています。また、愛知県陶磁美術館~富士浅間神社、瀬戸南公園、瀬戸市民公園でも見られます。

 

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