フモトミズナラのどんぐりを拾いに、愛知県へ行ってきました。

 

その前に、名古屋市守山区の蛭池にマメナシを見に行きました。

マメナシは、本州(愛知県・岐阜県・三重県)、朝鮮半島中部、中国大陸中南部、ベトナム北部に分布するバラ科ナシ属の落葉小高木で、三重県伊勢地方ではイヌナシと呼ばれるようです。里山や溜池周辺などの湧水のある場所に自生し、名古屋市守山区が分布の中心となっています。絶滅危惧IB類 (EN)に指定されており、愛知県では最高ランクの絶滅危惧IA類(CR)、日本での自生株数は460程度と推定されています。開発によって減少し、自生地でも子孫が殆ど育っていないことから、先行きが危ぶまれています。

 

大森・金城学院前駅から歩いて御膳洞公園の蛭池へ。

マメナシが沢山生えており、実もつけていました。

実は小粒で直径1cmくらいです。地面に実が落ちていたので、幾つか持ち帰りました。

蛭池では、マメナシの実生や幼木も確認されているそうです。ヒトツバタゴ(絶滅危惧Ⅱ類)もありましたが、流石にこれは植栽されたものでしょうか?自生ならかなり貴重なのですが…。

マメナシは小幡緑地東園の池の周りにもありました。春に白い花を咲かせるので、シデコブシの撮影も兼ねて花の時期にまた訪れたいと思います。

 

さて、次はフモトミズナラです。印場駅から山口駅へ向かいます。

瀬戸市の富士浅間神社~陶磁資料館にかけての里山でフモトミズナラが見られます。

 

 

富士浅間神社。土壌が殆どなく、砂礫が剥き出しになっているところが、いかにもフモトミズナラ自生地という感じです。ここではアベマキが優勢ですが、コナラとともにフモトミズナラも生えています。

地図を見ると、富士浅間神社の西側に湿地があるのですが、これが日本どんぐり大図鑑に記載されている山口富士湿地なのでしょうか?残念ながら、湿地へ降りることはできませんでした。

 

陶磁資料館付近です。この辺りの里山の樹木はフモトミズナラ、アカマツ、アカメガシワ、オオバヤシャブシといった陽樹の若木です。そう遠くない昔に伐採されたのでしょうか?

群馬県で見たフモトミズナラ×コナラ?もありましたが、木が高くて葉の写真を撮ることはできませんでした。

 

次は愛・地球博記念公園(モリコロパーク)へ向かいます。2005年の愛知万博の会場となった場所です。フモトミズナラ自生地としてはここが最も有名なのではないでしょうか?

レンタサイクルを借りて園内の奥の方へ向かいます(ちなみに、愛知県では自転車のことを「ケッタ」、「ケッタマシーン」というらしいです)。

サツキとメイの家~もりの学舎辺りにフモトミズナラの大きな群落があります。

フモトミズナラにつけられた名札。上からフモトミズナラと書かれたシールが貼られていますが、説明文はモンゴリナラのままです。やはり、2006年12月のフモトミズナラ命名以前はモンゴリナラと呼ばれていたようです。文献には「ミズナラ類似植物」と書かれていることもあります。

もりの学舎の前にはデッキがあり、フモトミズナラの写真が撮りやすいです。

もりの学舎には、フモトミズナラが描かれた絵画がありました。やはり、この公園のシンボル的存在なのでしょう。

 

さらに、隣接する愛知県立大学長久手キャンパスにもフモトミズナラがあると知ったため、行ってみました。ここは初めての訪問です。

キャンパス内の奥の方のグラウンド脇に散策路の入口があり、里山の中を歩きました。

散策路沿いにフモトミズナラの大群落があり、沢山のどんぐりが落ちていました!これは大きな発見です!

フモトミズナラは瀬戸市・長久手市・豊田市の堺辺りの里山では優占種になっているようです。

 

今回の旅で採集したどんぐり。

アベマキ。どんぐりは直径2~2.5㎝でした。全体的にまだ早かったですが、小幡緑地で沢山落としている個体がありました。愛知県の雑木林はアベマキばかりで、関東でメジャーなクヌギは皆無です。どうやら、静岡県の天竜川以西がアベマキ林になっているようです。東海道新幹線の駅でいうと、掛川から東がクヌギ林、浜松から西がアベマキ林といった感じでしょうか?

 

フモトミズナラ。殻斗つきのどんぐりも沢山落ちていました。北関東では8月下旬が最盛期でしたが、東海地方では9月中旬が最盛期のようです。まだ青いどんぐりをつけた個体もありました。改めて思ったのですが、東海のフモトミズナラは葉・どんぐりが北関東のものより明らかに小形です。葉は葉身15.5㎝、葉柄0.5㎝でした。北関東では30㎝近い葉もありましたが、東海では大きな葉でも20㎝前後でした。どんぐりは北関東と同じく長さ2~3㎝でしたが、全体的には北関東のものよりも小粒です。ともに同種とされていますが、隔離分布種であるが故に、遺伝子が異なるのかもしれません。長野県南部(飯田市辺り)にも分布するようですが、中間地点ではどのような形質なのでしょう?気になります。

 

拾ってきたマメナシ、アベマキ、フモトミズナラは鉢に植えて育てたいと思います。