言論・表現の自由を守る会も、下記ハンセン病国賠訴訟原告の方々の2021年1月29日付、内閣総理大臣菅義偉と厚生労働大臣田村憲久宛意見書に賛同し、拡散します。

 

 

1年前2020年01月30日の記事再掲

 

 

~・~・~

みなさまへ

 

BCCで送ります。

重複ご容赦下さい。

感染症法改正に関する与野党合意は、

刑事罰であろうと行政罰であろうと

罰を与える思想です。

 

以下、

ハンセン病国賠訴訟原告の方々から、

再度の意見書が出されています。

                          

※拡散希望!

感染症法等の与野党合意の報を受け、

私たちハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会は

意見書を内閣総理大臣菅義偉さんと厚生労働大臣田村憲久さんへ再度提出いたします。

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                   2021年1月29日

内閣総理大臣 菅 義偉  殿

厚生労働大臣 田村 憲久  殿

 

       〒893-0031 鹿児島県鹿屋市川東町7078−8 

        ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国原告団協議会 

                     会長  志村 康

                   事務局長  竪山 勲

         TEL/FAX:0944-42-6609

 

      感染症法改正に関する再度の意見表明

報道によれば、今般の感染症法改正問題につき、刑事罰の規定を削除して行政罰の過料とする方向で与野党が合意したとのことです。

わたしたち全原協は、1月22日付けで、感染症法改正により患者・感染者を処罰の対象とすることに反対の意見を表明しました。これは刑事罰であろうと行政罰であろうと同じことです。

わたしたちは、患者・感染者を過料の対象とすることに断固として反対いたします。

 

入院の強制は、患者の自己決定権の制限であり、積極的疫学調査への協力義務はプライバシー権の制限です。この制限に服さないものに対して過料を科すことは、患者・感染者を、人権が制限されるべきものと社会的に位置づけることにほかなりません。長年にわたってハンセン病隔離政策による人権侵害に苦しんできたわたしたちは、このことを絶対に許すことができません。

この間、様々な団体から、患者・感染者を処罰の対象とすることに対する反対意見が表明されています。そのなかには、公衆衛生の専門家団体の意見も含まれていますこの感染症法改正の審議においては、患者・感染者を処罰の対象とすることが感染症蔓延防止という観点から果たして有効なものかどうか、専門家が参考人として意見を述べることになろうかと思います。

しかし、それだけでは足りません。

法律が作り出した差別・偏見で苦しんできたわたしたちを、参考人として国会に呼んでください。わたしたちに、国会で、この問題に関する意見を述べさせてください。

 

各団体の意見書、声明には、ほぼ共通して、「……我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である」という感染症法の前文が引用されています。

政府は、ハンセン病問題から何を学んできたのでしょうか。

これまで学んでこなかったのであれば、いまこそ、学んでください。いま学ばずして、いつ学びますか。

患者・感染者を処罰の対象として、社会にいいことなどひとつもありません。

改めて、患者・感染者に対する処罰規定の白紙撤回を強く求めます

                           以上

 

 

 

「罰則は、効果がないどころか公衆衛生を破壊する」 東大の公衆衛生教授が感染症法の改正に反対する理由

 

感染症法等の改正に関する緊急声明」と題し、かつて、ハンセン病やエイズに対し差別や偏見が広がり、結核やハンセン病の強制隔離で患者の人権が侵害された歴史を踏まえ、刑事罰や罰則を伴う法改正を行わないように求めている。

日本公衆衛生学会と日本疫学会も同日、同様の反対声明を出した。

刑事罰や罰則の条項は設けないよう要求

日本医学会連合は、報道や政府与野党連絡協議会資料で、

「新型コロナウイルス感染症の患者・感染者が入院措置に反したり、積極的疫学調査・検査を拒否したりした場合などには刑事罰や罰則を科す」

とされていることに対し、感染症法等の改正について、「感染者とその関係者の個人情報等の人権が守られ、感染者が最適な医療を受けられることを保証するため」として、以下の4点を求めている。

  1. 感染症の制御は国⺠の理解と協⼒によるべきであり、法のもとで患者・感染者の⼊院強制や検査・情報提供の義務に、刑事罰や罰則を伴わせる条項を設けないこと。
  2. 患者・感染者を受け⼊れる医療施設や宿泊施設が⼗分に確保された上で、
    ⼊院⼊所の要否に関する基準を統⼀し、⼊院⼊所の受け⼊れに施設間格差
    や地域間格差が無いようにすること。
  3. 感染拡⼤の阻⽌のために⼊院勧告、もしくは宿泊療養・⾃宅療養の要請の
    措置を⾏う際には、措置に伴って発⽣する社会的不利益に対して、本⼈の
    就労機会の保障、所得保障や医療介護サービス、その家族への育児介護サ
    ービスの無償提供などの⼗分な補償を⾏うこと。
  4. 患者・感染者とその関係者に対する偏⾒・差別⾏為を防⽌するために、適切かつ有効な法的規制を⾏うこと。

日本の感染症対策の黒い歴史を踏まえた議論を

そして、感染症法の基本理念に「(感染者の)人権を尊重しつつ」とあるのは、同法の前文に書かれているようなハンセン病、エイズ患者へのいわれのない差別や偏見があった歴史があり、「この歴史的反省のうえに成立した経緯があることを深く認識する必要があります」と述べた。

我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。

このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。(感染症法前文より)

また、性感染症対策やエイズ対策で強権的な措置を実施することは、公衆衛生の実践する上でもデメリットが多いことが確認されていると指摘。

その上で、今回の新型コロナの感染者が入院拒否をする理由については、

「措置により阻害される社会的役割(たとえば就労や家庭役割の喪失)、周囲からの偏⾒・差別などの理由があるかもしれ
ません。現に新型コロナウイルス感染症の患者・感染者、あるいは治療にあた
る医療従事者への偏⾒・差別があることが報道されています」

とし、この感染症に対する偏見・差別が既に広がっている状況で、個人がそれを避けようとする行為にも事情がある可能性に触れた。

そして、「これらの状況を
抑⽌する対策を伴わずに、感染者個⼈に責任を負わせることは、倫理的に受け
⼊れがたいと⾔わざるをえません
」と対策も打たないままに、個人を罰することを批判した。

罰則は社会の恐怖や不安も引き起こす可能性

さらに、罰則それ自体が社会の中で、不安や差別を引き起こす可能性も指摘した。

「罰則を伴う強制は国⺠に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感
染症対策をはじめとするすべての公衆衛⽣施策において不可⽋な、国⺠の主体
的で積極的な参加と協⼒を得ることを著しく妨げる恐れがあります」

「刑事罰・罰則が科されることになると、それを恐れるあまり、検査を受けない、あるい
は検査結果を隠蔽する可能性があります。結果、感染の抑⽌が困難になること
が想定されます」

こうした可能性があることから、特措法や感染症法の改正については、感染者や関係者の人権に最大限の配慮を行うように求めている。

日本公衆衛生学会や日本疫学会も反対声明

同連合に加盟している日本公衆衛生学会や日本疫学会も別に連名で、同日、菅義偉首相、田村憲久厚生労働相宛に「感染症法改正議論に関する声明」とする反対声明を出した。

日本医学会連合と同様、結核やハンセン病では患者や感染者の強制収容が法的になされ、科学的根拠が乏しいなかで、著しい人権侵害が行われてきたという歴史を指摘した上で、以下の3点を求めた。

  1. 感染症法の改正において感染者の人権が守られ、感染者が最適に医療を安心して受けられる社会環境を提供することに最大限配慮すること
  2. あらゆる感染症において国民の参加協力のもとに感染を適切に制御する観点から、患者・感染者の入院強制や検査・情報提供の強要に刑事罰・罰則 を伴わせることは不適切であること
  3. 感染者やその関係者の個人情報保護に改めて最大限の配慮がなされるべきであること

 

さらに、「入院勧告、宿泊療養・
自宅療養の要請などの措置を行うにあたり、措置に伴い発生する社会的不利に
対する補償(就労機会の保障、所得保障や医療介護サービスの無償提供など)
を十分図ること、そして感染に伴う偏見・差別行為に対し毅然とした規制を行うこと」も併せて求めている。