・メモ

初めて鎌倉のcafe ailleursでのライブを観てきた。これはジャンルで言うとノイズミュージックというものになるのだろうか。大音量の中に身を浸す経験は過去になく非常に印象的だった。

 

ミュージシャンは波紋音の永田砂知子氏とモジュール・シンセの吉田氏の2人、全く音質、音量の異なる2つの楽器が作り出すサウンドはある種中毒性のあるもので音を聴くというよりは浴びるという体験は非常に興味深い。大音量のサウンドが邪魔にならずむしろリラックス効果を生むというのは初めての体験だった。

 

永田氏の演奏する波紋音は、鉄製のスリット・ドラムであるが音の印象は水琴窟かマリンバのような感じだ。資料を見ると確かに水琴窟にインスパイアされたとの記述があった。この波紋音、半球上のフォームの断面が上部になるが、そこに作られた亀裂によって音が決まるようだ。この亀裂は個々の個体ごとに形状が異なるため、目的とする音を出すためには手にしたスティックで叩く場所、強度を正確に把握しなくてはならない。永田氏はさりげなく演奏していたが、この演奏自体非常に難易度が高いものではないかと思う。

 

モジュール・シンセ担当の森田氏、どんな音を出すのか興味があった。予想したのは初期タンジェリン・ドリームのような単音のシンプルな音色だったが、醸し出されるサウンドは大音量の破裂音、雷鳴音、あるいはコントラバスや人間の声を模したような音であり非常に驚かされた。考えてみればシンセサイザという単語自体、合成装置という意味に近いので、合成音を構成するためのオリジンとなるサウンドはなんであってもいいということに気づいた。そうか、だから既存のシンセ楽器(キーボード、サックス、ギターなど)にあるキーボード的な入力デバイスを必要としないんだなw

 

さて二人の演奏では、森田氏がカウンタ上に設置したトランク状のモジュールシンセを扱い、永田氏が波紋音をパレット状のデバイスに置き、アタッチメントに繋いで音量の増幅、反復などの音質変化を加えた音を出力だ。明らかに吉田氏の爆音wに永田氏の波紋音は埋もれてしまいそうだが、しっかりと音の輪郭が明示され2つの音世界がむしろ溶け合うような形になるのに大きな感動を覚えた。轟音の世界が不快なものとならず、むしろリラックスさを誘発させるというのはどういったメカニズムによるものだろうか、自分の体に聞いてみたいw

 

PS 森田氏が国会議事堂前でギグをやった際、右翼の街宣車と遭遇したというが、森田氏の大音量の「軍歌」wに、右翼は退散したという。おぉ!

 

・ミュージシャン

 永田砂知子 波紋音

 森田潤   モジュール・シンセ

 

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