2019年冬
年が明けて、急なことだが、特許検索業務に従事していたK社が諸般の事情でこの事業を続けないこととなったと通達があった。心ある同僚はせっせと他の会社への転職を決めたが、私はどうしたものかとしばらく考えていた。もう60になるしこのまま退職してもいいかという気にもなってきたが、急転直下、特許調査部門が、近くにあった特許調査会社Aが部門そのまま引き取ってくれる事になり私も取り合えず最後の1年は会社員を続けることにした。
2020年春
当初7月から出社予定だったが、4月からの出社、給料も出るということで4月からA社の方へ出社することにした。前の会社からの上司が、新しい会社で実績を上げようと焦っていたようで、手際の悪い私の業務に剛をにやしパワハラまがいの扱いを受けることも多々あったが、あと1年の辛抱だと我慢すれば腹も立たず淡々と業務はこなした。
8月ごろに来年どうするかと訊かれたので、迷わず3月で退職しますと答えて、やっと気が楽になったが、その回答に驚く上司にこっちが驚かされたw その後、そうか学士入学試験に再挑戦という話があったなと思い出した。ただ昨今は業務が多忙を極め勉強する時間も取れなかったので、本格的に受験するのは21年にしようと決めた。まあ次回は勘を取りもどすためにも受けとこうかという気になり成績証明書などは郵送で取り寄せ、何とか申し込むだけは申し込んだ形になった。
2019年秋〜冬
当時は家の改築が秋にあったりし、業務も忙しく土日はほとんど出社するような状況で、英語についてはTIMEを毎号読んでいたものの、フランス語については手付かず、西洋古典の世界に触れることなどほとんどなかった。
2020年1月
そうこうしているうちに学士入学試験の当日になった。当初試験日は土曜と思いこんでおり、その日に特許庁の対話を入れてしまったが、女王様からの指摘で気がつきあたふたと予定を変更したことを覚えている。
なにしろ本番は来年のつもりだったので非常に気が楽な状態で試験には臨めたが残り50分の段階で語学の試験で解答用紙を間違え、慌てて解答を移し替えるなどしたのでかなり焦ってしまった。
午後の最後の試験(多分小論文)も余裕でこなしていたが、私の席から見える人が、下書き用の用紙にせっせと書いているのに気がついた。早く本物の試験用紙に写せばいいのになぁと思いつつ、残りも20分になりふと周りを見渡すとみんな下書き用紙に書き込んでいる。この時点で下書き用に間違って解答を書いていたのが自分だと気がつくw さあ大変、まだ結論を書くに至ってないが、とりあえず自分の文章を提出用紙に文字通り殴り書きし、写し終わった最後の5分で無理やり結論をでっちあげた。余裕なし。2度目の学士入学試験はこういう悲惨な形で終わった。
その後職場へ戻る足取りは非常に重い。しかし月曜日に延期した対話の準備もしなければならない。首がガクンと折れたまま田町の事務所に戻り、準備を再開した。
(続く)
第1回、第2回の学士入学試験受験の細かい話は以下にまとめています。