・メモ
作家幸田露伴の娘である幸田文の作品集。露伴の作品を読んだ経験がないので文体の影響などは不明だが、作品の特徴となるのは人間関係における微妙な塩梅を描くのが得意な印象を受けた。
もう一つの特徴は自分の生き様と父との関係をかなり詳しく作品として残している点かな。本書でも200ページ弱の「みそっかす」という自らの幼少時代を綴った作品が収録されている。
上述の通り文体の影響を露伴から受けたかどうかは不明だが人間として、多大な影響を露伴から受けていることは分かった。
生活には恵まれなかった方だが日々の生活の中で常に人間観察を心がけ、そのことが如実に細やかな人間描写に繋がったことは容易に想像できると思う。
作品の中では大きな事件めいたことは起きず、淡々と登場人物間の人間関係が詳細にかつ淡々と葛れる味のある作品が多いな。
[幸田文/¥968]
[幸田文著/筑摩書房(2007/11/20)]
[476p/978-4-480-42505-8]
[幸田露伴、親娘、離婚、人間関係、人物描写、死、静かな時、chick corea piano improvisations vol.1]
[ちくま日本文学005][店][035]