・メモ
大江健三郎の小説は読んだことがなかった。多分それは、高校時代の同級生に「彼の文体は分かりにくく、悪文と言ってもいい」と言う発言を聞いたからだ。その後彼の作品を読む機会がなかったが、たまたま今回、借りることができたので読んでみた。
その結果わかったことは、彼の文体が悪文ということはない。ただ主人公には共通した特徴がある。他者への無関心ということだ成る程、この短編集の中で、主人公の周りではさまざまなことが起こる。暴力、恐怖、閉塞そしてほとんど意味をなさない性描写など多岐に及ぶ。しかし最終的には主人公は自分に集中している、他人の行動にあまり動かされないと同時に、自分の行動を他人がどう思うかについても関心がほとんどない。その冷たさは著者にも多少通じるところがあるのではないか。
[死者の奢り・飼育/¥481]
[大江健三郎著/新潮社(1959/9/25)]
[270pp/4-10-112601-1]
[死体、マスク、手違い、脱走兵、売春婦、捕虜、かれ、弟、隔離、暴力、被害者の強制]
[新潮文庫 お-9-1 1325][店][001]