・メモ

以前千夜千冊を集中的に読んでいた頃、やはり多読に関する著作を何冊も世に出していた立花隆氏に興味を持ち、何冊か読んだ記憶がある。かなり期待を込めて読んだが、その期待は残念ながら裏切られた。著作の中で気になったのは氏の自分に対する根拠不明の絶対的自信と、参考文献に対する敬意の欠如、フィクションに対する過小評価だった。そこには世で言われる「知の巨人」の姿はなく、自己中心のご都合主義の人物がいた。

 

そんなことが過去にあったので本書もかなり懐疑的な気持ちで読み始めたが内容自体は意外なほどまともなものだった。特に当時(1990年代)の死亡判定基準の不備に対する指摘、改善案の指摘は非常に的確だと思った。

 

ただ、少し気になったのは彼の場合、好奇心が理性を超えて優先される場合があり、それが晩年の神秘主義的な疑似科学の世界に向かっていった理由ではないかと思った。

 

[生、死、神秘体験/¥-]

[立花隆著/講談社(2007/5/16)]

[417p/978-4-06-275738-6]

[臨死体験、死後、臓器移植、心臓移植、死の判定基準、竹内基準、脳死、6時間、サル、宗教、即身仏]

[講談社文庫][初大][080]