・メモ

古典ギリシアの世界において哲学者と似て非なる者として常々対立した存在だったが、現在に至りその実態が明らかになっていないソフィストにスポットライトを当てた作品。哲学者が真理の追求を指名として考えていたのに対し、裁判や議論で相手を論破することに力を注いだソフィスト、目指すものが違うだけに、用いる議論のやり方も自ずと異なってくる。

 

なかなか面白い話ではあるが、ソフィストが人々に徳を与えるとの使命の元に金銭を受け取っていたというのはかなり衝撃的だった。パトロンがいることは理解できるが、一般市民からも賃金をえていたとは。ただ彼らの言う徳というのが裁判で勝つ技術にすぎないというのにはすこし拍子抜けな感じだな。そこでよく使用された重層論法も、枚挙論法も小賢しい技術にしか見えなくなってしまう。本当にこれだけだったのかな?

 

[ソフィストとは誰か?/¥1,430]

[納富信留著/筑摩書房( 2015/2/10)]

[375p/978-4-480-3]

[哲学者、ソフィスト、報酬、徳を教える、即興演説、逆説、ノモスとフェシス、自宣、弁論、言語化、重層論法、枚挙論法]

[ちくま学芸文庫 ノ-7-1][初図][054]