・メモ

岡本太郎氏の長年のパートナーであり、養女であり、事実上の妻であった岡本敏子氏の作品。本書はフィクションであるのだが、岡本太郎氏が羽田謙介、岡本敏子氏が久慈笙子のモデルである事は読んでいくとすぐ判る。

 

物語は羽田健介によって社会人として女性として大きく成長させられた久慈笙子の、社会と人とのふれあいを描いている。岡本敏子氏はストーリーテラーの才能があり話の展開が面白く読者を飽きさせない。

 

ただ難を言うと細部の描写が不足しているので周辺人物の輪郭が今ひとつ見えてこないかなぁ。例えばケルト文化の研究者瓜生次郎ももう少し魅力的な人物として活躍できた気がする。この描写では中途半端でエロい少し間抜けな男になってしまい、もったいない。

 

更に岡本太郎氏と著者の行為を想起させる濃厚な性描写は量的にも全体のバランスを崩すほど大量で、正直言えば五分の一でいいかなw

 

[奇跡/¥1,650]

[岡本敏子/集英社(2003/11/30)]

[242p/4-08-774672-0]

[羽田謙介、久慈笙子、性行為描写、大沢波光、井崎五郎、瓜生次郎、田宮オーナー、大沢波光、建築家、広告代理店、イタリア、アメリカ]

[単行本][ 初図][0044]