・メモ

哲学の誕生を読んでみた。哲学がなんであるかと言うことは一言では非常に言い難いが、哲学に関わると言うことは、一つには「考える」ことに関連し、さらに言うと「より良く考える」ことに関連すると言えそうだ。そしてそのテーマも人間とはなんなのか、生きること死ぬこととはなんなのかといった明確な一般解が見出せないことをテーマとするようだ。

 

そんな哲学のルーツがどこにあるのかと言うことを考えた時に、ソクラテスより正確に言えば死後のソクラテスを紹介したプラトンやクセノフォン達が中心となって展開していったソクラテス文学にあると言うことを教えてくれる。ただしソクラテスの解釈については彼の死刑判断にのみフォーカスしたクセノフォンよりは、より広くソクラテスの意図したことを伝えると同時に、ソクラテスを登場人物とした対話篇を通じて自らの哲学を構築していったプラトンの功績が大だと思われるようだ。

 

本書によって哲学がどのように始まっていったかのルーツ的部分がかなりはっきりしたように思う。やはり西洋古典学を学ぶ上ではソークラテース=

プラトーン=アリストテレースの流れは避けて通れないのかもしれない。それにしても「無知の知、悪法も法なり、太った豚よりも痩せたソクラテスとなれ」といった、一般によく知られたフレーズが、実は誤訳に基づく誤解であったとは!

 

[哲学の誕生 ソクラテスとは何者か/1,320円]

[納富信留著/筑摩書房(2017/4/10)]

[356p/978-4-480-09794-1

[クリティアス、アルキビアデス、ポリュクラテス、ソフィストVS哲学者、クセノフォン、プラトン、ソクラテス文学、哲学の道、井上円了、西周、ソクラティコイ、ソクラティオイ、無知の知、悪法も法なり、太った豚よりも痩せたソクラテスとなれ]

[ ちくま学芸文庫ノ-7-2][初図][041]

[BB0001]