・メモ
伝説のフォルクローレギタリスト、シンガーのソンコ・マージュさんのライブに行ってきた。もうすぐ86歳になろうというソンコ・マージュ氏、しかし元気いっぱいで衰えは殆どない感じだ。聞けば多分現役のギタリストとしては世界で最年長ではないかと言うことだ。まだまだ元気に活動を続けてほしいものだ。
彼の音楽はフォルクローレというジャンルらしい。イメージ的にはアルゼンチンの伝統音楽になるだろうか。先住民族やガウチョ(カウボーイ)に代々脈々と受け継がれていく音楽だろうか。
パフォーマンス全体を占めるのは憂いを帯びたメロディと力強い歌声になると思う。彼の演奏、歌唱は時として日本の演歌に近い感覚があるが、演歌よりはより大地のメロディというか土着感にあふれたものだ。日本の土壌からは決して生まれてこない流れを感じた。
ただ、哀愁あふれるメロディに終始していると少し気分的に暗くなってしまうなと感じたが、いいタイミングでマランボという、ガウチョの踊りの明るい曲が演奏されたので気分的に落ち着いた感がある。これらを含め、他では味わえない演奏を堪能した一夜だった。
ソンコ・マージュ氏は演奏・歌唱もさることながら、話術が巧みで話が抜群に面白い。この話の一部を下に記しておく。
・ミュージシャン
ソンコ・マージュ ギター、ヴォーカル
・演奏楽曲(順不同、名称に間違いあり)
第1部
01 ユパンキに捧ぐ
02 夜の祈り
03 木は全て覚えている
04 牛車に揺られて
インターミッション
第2部
05 ツクパソ
06 トリステ no.5
07 愛しの故郷よ
08 ゆうぐれ
09 不滅の音楽
10 no title(instrumental)
11 主よ、人の望みの喜びよ
12 マランボ
13 no title(instrumental)
アンコール
14 鳥の歌
・トーク・タイム
彼は以前はチェロ、ヴァイオリン、ピアノを演奏しており、特にチェロとヴォーカルが好きで、チェロを弾きながら歌うという方向を目指していたが、音楽の恩師からチェロには歌唱で太刀打ちすることができないからと、ギターを勧められ今のスタイルになったという。
彼の師匠であるアタウアルパ・ユパンキに初めて会った時、彼の曲を演奏したソンコ・マージュさん、彼の演奏の高度さにユパンキは驚きを隠せなかったようだが、次のような言葉も口にした「お前の演奏は素晴らしいが、1小節オリジナルより短いぞ」
コロナは収束せず、人間はコロナと共生の道を選ぶしかないだろうというのはソンコ・マージュさんの3月の言葉。当時はピンと来なかったが、これが今現実のものとなっているのには正直驚いている。
彼によればコロナウィルスは現在では変化しており、飛沫でよりも空気感染が中心となっているという。とするとマスクはあまり役立たないということなのか。
第1次世界大戦を事実上収束させたのは、軍事力というよりはスペイン風邪であったという。
ユパンキと乾杯した時、グラスの端が少しだけソンコ・マージュさんの方が高くなったそうだ。すかさずユパンキはグラスの端の高さを揃え、「同じこと=平等が大切だ」と言ったという。いい話だなw
現在ユパンキのドキュメンタリ映画がアルゼンチンで進行中であり、ソンコ・マージュさんも近々インタビューを受ける予定である。
かつて一度、彼は松本清張に会ったことがあり、その時書いていた原稿を松本清張に見てもらったという。その時の言葉「形容詞が多すぎる」
70年代のアルゼンチンは軍事政権下にあり(注:78年のW杯は軍事政権下で実施され、様々な問題が隠蔽された)、3万人以上が殺されたという。ユパンキにも危機が迫りフランスへ亡命した。
亡命前、ソンコ・マージュさんはユパンキの元を訪れたが、辺鄙な谷のような場所にある自作の荒屋であったという。
ソンコ・マージュさんの演奏に惚れ込んだプロモータ、あるホールで21回連続公演を企画・実現したという。この記録はいまだに破られていない。
ソンコ・マージュさんによればハゲの特効薬はないという。なぜなら彼は世界各国のありとあらゆる毛生え薬を試したが効果がなかったというw