・メモ
薩摩琵琶の与之乃氏とトランペットの田村夏樹氏のライブを見てきた。事前の情報が全くなかったので一体どんな音になるのか想像がつかなかった。と言うことでまずは薩摩琵琶の演奏に耳を傾けることにした。
薩摩琵琶の演奏は所謂琵琶の演奏だけでなく、歌も含めてワンセットという構成だ。薩摩琵琶の音色は倍音をかなり含んだ複雑な音色でかなり情感溢れる音色を作り出せ、そしてそれに与之乃氏の力強い歌唱が加わり独特な世界を作り出していた。聞けば琵琶の世界に加わる前はパンクバンド!に属していたそうで、琵琶の演奏歴はわずか3年余りだと言う。これには驚いた。彼女の場合ヴァイオリンとギターの演奏経験があるのでそれが短期の琵琶の習得に貢献しているのかもしれない。
演奏の中で弦をバチで叩く場合と、指で直接弾く場合があったがその双方の違いで何が変わるのかは分からなかった。またバチの使い方でも上から弦を叩く場合と下から弦を叩く場合があったがその演奏の違いで何が変わるかこちらもよく分からなかった。再度聴く機会があれば質問してみよう。
小島氏司会のトークタイムを挟んで、田村氏のトランペットを加えたデュエットの演奏になった。田村氏と与之乃氏はヨーロッパ公演を行なった後なのでどんな感じになるのか興味も湧くところだ。
で、演奏だが、与之乃氏が奏でる薩摩琵琶と歌唱に田村氏のトランペットが絡んでいく感じだった。基本的に与之乃氏のパートには即興演奏は無いように思えたが、小島氏のトークセッションで田村氏が与之乃氏の即興対応力を褒めていたのでそう言う局面もあるのだろう。確かに演奏中田村氏が演奏をリードしている時は与之乃氏が音を探りながらタイミングを合わせながら音を合わせていく演奏があり、この辺りが即興演奏に対応するのかなと思った。
田村氏の演奏は多くの場合は効果音的な音をトランペットから紡ぎ出し、歌詞の世界に関連した部分になると歌詞に沿った世界を描写する演奏を試みていた。音的にはフリージャズ的な感じだが、琵琶とのコラボレーションにはそれ程違和感がなかった。
私の理解不足の面もあり、今回の演奏を十分に楽しめたかと言うと疑問符がつくが、興味をそそられたと言う意味では相当面白かった。特に与之乃氏の薩摩琵琶については機会があれば再度聴いてみたい。
・メンバ
与之乃 薩摩琵琶
田村夏樹 トランペット
小島智 トーク司会
・演奏楽曲
- 第1セット
01那須与一
- 第2セット
02邂逅