・メモ

ギュスターヴ・モロー展を汐留に見に行ってきた。モローを初めて知ったのは三十年近く前のパリ旅行の準備中にガイドブックであり、さしたる予備知識のないまま彼の美術館を訪れた。そこで一種異様な彼の作品群に触れ魅了された覚えがある。

 

今回の美術展では問題作apparition、絵うロペの誘惑のほか彼の代表的な作品が展示されている。彼の場合、特徴としては題材を聖書やギリシャ神話から取りながら、登場人物の顔立ち、表情、姿勢が一種異様な雰囲気で描かれ題材に基本的な物語性以上のものを付加している点が特徴なんだろう。

 

また、近寄ってみると登場人物の服装、背景などにヨーロッパや中東などと明らかに違うアジア系のエキゾシズムを感じさせる点も大きな特徴ではないか。今回の展覧会ではそれらに加え、彼の絵画のモチーフの一つであるファム・ファタルに焦点を当てている点が面白かった。今までこの観点でモローの作品群を見たことがなかったので、今後彼の作品の見方が変わってくるかもしれない。

 

午後には山田五郎氏によるモローの作品群を解説するトークショーが行われた。これがまた抜群に面白かった。かれの博覧強記も凄いが、それをわかりやすい言葉で人に伝える能力の高さが抜群に高い。予定時間を30分も超過する講演だったが少しもダレることなく話を繋いでいく彼の語り口はテレビで聞くのと同じ親しみやすく興味深いものだった。

 

この美術展については来週のぶらぶら美術博物館でも放送するということなのでこっちも楽しみだ。