35年ほど前に読んだこの本、久しぶりに再読してみた。題名は実に曖昧で格好いい。音を見るってどう言うこと?時を聴くって? と題名からイメージは膨らみ興味は尽きない。

 

ただ、本書を読んで見るとこの題名が提示したテーマに答えを与えているかというとそうでもない。本書ではいくつかのテーマに対して、大森氏と坂本氏の対話という形で話は進行する。

 

しかし一件和気あいあいと進んでいるように見える対話は、実は編集の賜物であり、今ひとつ噛み合っていない気がする。そもそも大森氏が何を問題にしているのかが今ひとつ伝わってこない。今この瞬間を表す言葉がないってどういうこと?いま考えていることはどこにあるって?と思ったがよく考えて見ると大森氏は物理学科出身ではあるが哲学者であることに気がついた。当然一般人の発想とは異なってくるわけだ。

 

ということで本書を読んでも伝わることがあまりなく苦戦した。ただ、問題の提起のしかたには驚かされた。哲学者はこんなことを問題として、考えているのか!

 

[音を視る、時を聴く/¥1,036]

[大森荘蔵、坂本龍一 /朝日出版社(1982/10/10)]

[237p/0310-182300-0039]

[主観・客観、二元的構図、時間的・空間的、音のずれ、分解能、主観・客観、二元的構図、同時性、只今、頭の中にない、レティンツィオーン、プロティンツィオーン、点ではない、刹那、イメージ、焦点、今この瞬間をどう表現するか。フッサール、東洋的、還元論の限界]

[LECTURE BOOKS III/⑦][再][016]