[夜中の電話/¥1,296]

[井上麻矢/集英社インターナショナル(2015/11/30)]

[173p/978-4-7976-7306-7]

[自己顕示欲、失敗を認めない、エキセントリック、よき父、スーパービジネスマン、家庭内暴力、愛人、自己肯定、不安、千1625/1629]

[単行本][初図][004]

 

本書、イメージ的には死期の迫った井上ひさしが、

病院から夜な夜な娘にかけた電話の中で語られた

珠玉の言葉の数々といったところだろうか。

 

 実際には娘井上麻矢氏の自己確立・実現のために

井上ひさしの言葉が利用されているに過ぎない。

本書の中で井上ひさし氏は優しい人格者、知識人で

ビジネスマンとしてもスーパーだったように語られて

いるが、実際にはひどい家庭内暴力と夫婦双方の

愛人問題と離婚、大きな赤字を抱えた劇団と、

ご難続きだった。これにはほとんど触れず、亡き

父をある種神格化し、そのお眼鏡にかなった自分の

後付けのサクセスストーリーを語られても虚しい

感じがするなぁ。