[戦時下日本の建築家 アート・キッチュ・ジャパネスク/¥1,677]

[井上章一 /朝日新聞社(1995/7/25)]

[321p/ 4-02-259630-9]

[ファッショの結果としての戦勝、戦争に誘導されたファッショ、和風→瓦屋根、日本インターナショナル建築会、日本趣味、非常時、エキゾチシズム、通俗性、モダニズム→間装備、忠霊塔、帝冠様式、千0253/1620]

[単行本][初図][056]

 

第二次世界対戦中、イタリアやドイツのファッショ政権が

推し進めたファッショ性を強調するような建築様式、それと

対応するように日本でも現れた日本趣味の建物。戦後この

日本趣味の建物は、日本のファッショを象徴するものとして

語られることが多かったが、著者によって実態は異なるもの

であったことが明らかになる。

 

確かに通常のビルに和式の屋根をつけたような珍妙な日本

趣味の建物があったことは事実だ。ただしそれらが政府から

建築を強制されたものであったかというとそうではない。

幾つかの建築コンペで、日本趣味に沿ったものにするような

指定があったことは事実だが、すべての建物がそういった

指示の下に建築を強制されたわけではない。それを政府に

あたかも強制され、日本のファッショを象徴するするもの

のように扱われたのは、コンペで不採用の憂き目をみた

モダニストたちの捏造であったわけだ。ただ、その

モダニストたちも、丹下健三を中心とした若い建築家達の

和風建築の趣向についていけなくなるんだけどね。

 

本書はもともと学生時代の論文を加筆訂正したもの

であり、そこに大幅な加筆訂正を加えているため、

読んでみると若干冗長な部分、くどい記述が目立つ。

それがピアノの本に見るような軽妙洒脱な文書形式に

なるにはもう少し時間がかかるようだ。

 

誠剛君はこう言っている。