J-POP進化論―「ヨサホイ節」から「Automatic」へ (平凡社新書 (008))/佐藤 良明
¥745
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[J-POP進化論/¥745]

[佐藤良明著/平凡社(1999/5/20)]

[217p/4-582-85008-1]

[歌、うた、詩、唄、土着、ブラックミュージック、クラシック、ポップス、偏見、先入観、検証、千0201]

[平凡社新書008][図初][007]

著者の佐藤氏は、なんとなく感じの良さそうなおじさんという
印象があり、ちょっと期待して読んでみた。しかし。。。

帯には「この100年の流行り唄とともに私たちの心の何が変わったか?」
と書かれている。どんな話になるのかなと期待して読んだが、内容は
予想を裏切るものだった。この本で書かれていることは、多分に著者の
偏見であったり、先入観であったり、思い込みであったりするものが
ほとんどだ。ある事象をみて、「XXだ」と断定し、それを元に話を
展開していく。しかし断定するには十分な検証が必要だと思うんだが
その部分が圧倒的に不足していることはいなめない。思うに、著者の
佐藤氏には唄の変遷に関して既に大まかなストーリ展開を持っていて、
本書はその話を正当化するために逆算して話を構築してきたように思う。

それと、やや軽薄調の文体がちょっといらっとさせられる。そしてさらに
悪いことに、佐藤氏は日本の流行歌や、そこに影響を与えたアフリカ系
アメリカ人の文化がひどく嫌いなようだ。本書の中でしばしばびっくり
させられるような表現が出てくる。
「ブギはだらしない流行のリズム」
「リズム&ブルースは電気ギターやラッパの響く猥雑なポピュラー音楽」
「アホな日本土着」
さらにイサドラ・ダンカンが言ったこととして
「あのリズム(ジャズ)は原始的な野蛮人の表現」
種々の文化の構成要素である、音楽のジャンルを
こんな乱暴な言葉で切り捨てていいのかと
怒りを覚えるな。

誠剛君は
こう言ってる。